映画『E.T.』の冒頭、E.T.は地球の森で、懐中電灯を片手に植物を採取しています。なぜ彼は地球にやってきたのでしょうか?映画では明確に語られませんでしたが、製作陣が設定した裏設定によると、E.T.は単なる宇宙人ではなく、「植物学者」でした。
この設定は、なぜE.T.が平和的でエリオットと心を通わせることができたのかという、物語の核心を解き明かす鍵を握っています。
なぜ「植物学者」として描かれたのか?
スティーヴン・スピルバーグ監督は、元々『ナイト・スカイズ』というホラー映画の企画を進めていました。そこでは、人間を襲う邪悪なエイリアンが登場する予定でした。しかし彼はその企画を中止し、代わりにE.T.のような優しく、愛されるキャラクターを主人公に据えることを決めました。
E.T.を植物学者にしたのは、彼が地球に対して一切の敵意や侵略の意図がないことを示すためです。E.T.の故郷の星では、植物がとても重要な存在であり、彼は地球の豊かな植物を研究し、持ち帰るためにやってきたのです。
E.T.の長く伸びた指先は、植物を採取するための道具であり、彼の光る指は植物の生命力を探知する能力だと考えられています。この裏設定によって、E.T.はより純粋で無害な存在として描かれました。
E.T.と植物が「共鳴」する理由
E.T.と植物の関係は、単なる研究対象と研究者ではありませんでした。映画の中でE.T.は枯れた植物を蘇らせたり、彼の命の灯りが消えそうになると鉢植えの植物が枯れていく描写があります。
これは、E.T.が植物と深いレベルで共鳴し、生命を共有していることを示唆しています。E.T.は、植物の命の光そのものであり、それが彼が発する光や光る指の能力と結びついています。
E.T.とエリオットの心が繋がったのは、E.T.が植物と通じ合うように、エリオットの心にも深く共鳴したからです。彼にとって植物もエリオットも、同じように愛すべき命の存在だったのです。
映画にはない深い裏設定
- E.T.の故郷の星: E.T.の故郷の星では、彼の種族は植物と共生しているという裏設定があります。
- 地球の環境: 彼は地球の空気に適応できず、徐々に衰弱していきます。これは、E.T.が故郷の星の環境から離れ、命の根源である植物と物理的に隔てられたことによるものでした。
まとめ
映画ではあまり語られなかった「植物学者」という裏設定は、E.T.というキャラクターをただの宇宙人ではなく、愛と平和を体現する特別な存在へと昇華させています。
このバックストーリーを知ることで、私たちはこの名作をより深く、感動的に楽しむことができるでしょう。
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