始皇帝=嬴政とはどんな人物だったのか?
『キングダム』に登場する嬴政(えいせい)は、中華統一を掲げる若き秦王として描かれています。
この嬴政は、史実に実在した「始皇帝(しこうてい)」をモデルとしたキャラクターです。
始皇帝は紀元前259年生まれ。13歳で秦王に即位し、紀元前221年に戦国七雄を統一して“中華”を一つの国家にまとめ上げた最初の皇帝となりました。
その統一後に彼が進めた政策の数々が、いまに続く中国の基盤となったのです。
なぜ“中華統一の改革”が必要だったのか?戦国時代の背景
嬴政が生きた戦国時代は、秦・楚・斉・燕・韓・魏・趙の七国が争う大混乱の時代でした。
それぞれの国で使われる文字・法律・貨幣・単位(度量衡)が異なっており、国家を一つにまとめるには「制度の統一」が不可欠でした。
ただ戦に勝って終わりではない。
「中華統一」とは、思想・文化・制度までを一つにすることだったのです。
文字の統一|漢字を“共通語”にした理由と効果
始皇帝がまず取り組んだのは文字(漢字)の統一でした。
それまで各地にあったバラバラな字体を、「小篆(しょうてん)」という統一書体に整理。
これにより:
- 王命・法令が全国で正確に伝わるようになった
- 地域ごとの誤解・混乱を防げた
- 教育や行政の効率が格段に向上
“言葉を揃えることで人の心を揃える”という、思想的にも強い意味を持つ改革でした。
法律と度量衡の統一|公正なルールの共有
次に始皇帝が進めたのは法律と単位(度量衡)の統一です。
これにより:
- どの地域でも同じ法に基づいて裁かれる公平な社会に
- 重さ・長さ・体積などの計量基準が一本化
- 商取引・物流がスムーズに
まさに「ルールを一つにすることで国家が崩れないようにする」という国家づくりの基礎が整えられたのです。
貨幣の統一と道路整備|経済と情報の流れを一本化
始皇帝は貨幣も統一し、「半両銭(はんりょうせん)」という銅貨を共通通貨として流通させました。
さらに:
- 全国を結ぶ街道・運河を整備
- 駅伝制を設け、情報の伝達を高速化
- 軍事・経済・政治を中央から一括管理できる体制を構築
これは単なる「便利さ」ではなく、“中華を一つの国家として機能させる”という目的のための戦略でした。
まとめ|“中華統一”は夢ではなく、国家デザインだった
『キングダム』では、「中華統一」は夢や理想として語られます。
そして史実の始皇帝は、その理想を現実の制度・仕組みとして形にした王でした。
もちろん、彼のやり方が強引だった部分もあります。
ですがその先には、混乱から秩序へという未来志向の国家ビジョンがあったのです。
剣で国を統一したあと、
言葉と法と貨幣で“人々の心”を統一しようとした男──
それが、始皇帝・嬴政のもう一つの姿だったのかもしれません。
▼ 始皇帝の“暴君像”についてはこちらの記事で詳しく解説
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