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『ブラッサム』珠の「最高でーす!」の意味は?宇野千代の口癖と人生観を解説

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NHK朝ドラ『ブラッサム』の冒頭で、強く印象に残った言葉があります。

1982年、85歳になった葉野珠が故郷・岩国へ戻り、錦帯橋のそばで取材を受ける場面。

秘書の藤川優子から「先生、今のご気分は?」と聞かれた珠は、両手を大きく広げ、満面の笑みで答えます。

「最高でーす!」

加賀まりこさんが演じる珠の明るさを表した、ちょっとお茶目な演出のようにも見えます。

ところが、この「最高です!」はドラマのために作られた言葉ではありません。

モデルとなった宇野千代が、実際によく口にしていた言葉です。

しかも宇野千代が「最高です」と言ったのは、本当に調子が良いときだけではありませんでした。

入院しているときでさえ「最高です!」。

宇野千代には「人生はいつだって今が最高」という言葉も残っています。

『ブラッサム』がなぜ物語の最初に「最高でーす!」を置いたのか。

宇野千代の人生を知っていくと、この短い一言が『ブラッサム』という物語全体を表す言葉だったことが見えてきます。

『ブラッサム』冒頭の「最高でーす!」はどんな場面?

『ブラッサム』は、若き日の珠から始まるわけではありません。

最初に登場するのは、加賀まりこさんが演じる晩年の葉野珠です。

1982年、85歳になった珠は秘書の藤川優子とともに、故郷の山口県岩国を訪れます。

そこには錦帯橋があり、桜が咲いています。

取材を受ける珠に、優子が現在の気分を尋ねます。

すると珠は両手を広げて、元気いっぱいに「最高でーす!」。

その後、物語は明治時代へさかのぼり、少女だった珠の人生が始まります。

ここが面白いところです。

視聴者は先に「最高でーす!」と笑う85歳の珠を見せられてから、彼女がそこへたどり着くまでの人生を見ることになります。

つまり『ブラッサム』は、最初から「この女性は最後には自分の人生を最高だと言えるようになる」と私たちに見せているのです。

「最高です!」は宇野千代が本当によく言っていた言葉

「最高です!」は、宇野千代の実際のエピソードをもとにしています。

宇野千代は晩年、秘書から毎朝「今日の調子はどうですか?」と聞かれると、「最高です!」と答えていたと伝えられています。

『ブラッサム』で珠を演じる石橋静河さんも、宇野千代について調べる中でこのエピソードを知ったと語っています。

しかも驚くのは、宇野千代が元気な日だけ「最高です」と答えていたわけではないことです。

けがをして入院しているときでさえ「最高です!」。

普通なら「今日は痛い」「調子が悪い」と答えてしまいそうな状況です。

それでも宇野千代は「最高です」と言う。

だからこの言葉は、単純な体調報告ではありません。

宇野千代が自分自身に向けていた言葉でもあったのでしょう。

宇野千代にとって「最高です!」はポジティブなおまじないだった

『ブラッサム』第1週の試写会では、出演者たちが宇野千代の「最高でーす!」のポーズを披露しています。

そこで「最高です!」は、宇野千代が生前によく使っていた「ポジティブのおまじない」として紹介されました。

この「おまじない」という表現は、とても分かりやすいと思います。

「最高です」と言うのは、今起きていることをすべて無理に良い出来事だと思い込むこととは少し違います。

宇野千代にも、当然つらい出来事はありました。

恋愛も結婚も仕事も、決して順調なことばかりではありません。

それでも「私は不幸だ」と立ち止まり続けるのではなく、今ここからどう生きるかを考える。

そのためにまず言葉を変える。

「つらい」と言い続けるのではなく、「最高です」と口にする。

言葉によって自分自身を前へ向かせる方法だったのかもしれません。

宇野千代の名言「人生はいつだって今が最高」

宇野千代の公式サイトには、彼女が残した数多くの言葉が紹介されています。

その中に、こんな言葉があります。

「人生はいつだって今が最高」

これを知ると、『ブラッサム』の「最高でーす!」がさらに意味を持ってきます。

宇野千代が「最高」と考えたのは、若くて美しい頃だけではありません。

小説家として成功したときだけでもありません。

年齢を重ねても、病気やけがをしても、そのとき生きている「今」を最高だと考える。

宇野千代の公式サイトには、ほかにも「私はしあわせ、昔も、今も、これからも」「幸福は幸福を呼ぶ」といった言葉が残されています。

どれも共通しているのは、幸福を外から与えられるものとして待っていないことです。

自分の心の持ち方によって、自分で幸福を作ろうとしています。

「言葉が感情を引っ張ってくる」という宇野千代の考え方

宇野千代の言葉の中でも、「最高です!」と特に深くつながっているように思えるものがあります。

「言葉が感情を引っ張ってくる」

普通は、楽しいから「楽しい」と言い、幸せだから「幸せ」と言うものだと考えます。

宇野千代の発想は、その逆でもあります。

先に言葉にしてしまう。

すると気持ちが、その言葉についてくる。

だから調子が悪くても「最高です」と言えるのでしょう。

「最高です」と言ったから突然けがが治るわけではありません。

現実に起きた嫌な出来事がなくなるわけでもありません。

変えようとしているのは、起きた出来事ではなく、それを受け止める自分の心です。

この考え方を知ると、宇野千代の人生がなぜあれほど前へ前へと進んでいったのか、少し分かる気がします。

宇野千代は決して「何も悩まない人」ではなかった

ここは、『ブラッサム』を見るうえでも大切なところです。

宇野千代がいつも「最高です」と言っていたからといって、何が起きても平気だったわけではありません。

主演の石橋静河さんも、宇野千代は悩んだり悲しんだりしながら、自分の生き方を見つけた人だと語っています。

宇野千代の人生には、父との複雑な関係、母との死別、短期間で終わった最初の嫁入り、結婚と離婚、恋愛、仕事上の苦労など、さまざまな出来事がありました。

悲しいことを感じないから前向きだったのではありません。

悲しんだあとに、そこから何かを持って次へ進んでいく。

だからこそ「最高です」という言葉にも重みがあります。

最初から何もかも恵まれていた人が言う「最高」と、波乱をくぐり抜けた人が言う「最高」では、聞こえ方が違います。

『ブラッサム』が最初に晩年の珠を見せた意味

『ブラッサム』の構成も、この言葉を理解すると面白くなります。

物語が始まってから、珠にはさっそくさまざまな出来事が起こります。

父・清治に逆らえず、父が決めた相手と結婚。

ところが結婚生活からわずか3日で家を飛び出します。

そして父との別れも近づいてきます。

これから珠には、さらに多くの恋愛や結婚、仕事、別れ、挫折が待っています。

しかし視聴者はすでに知っています。

その人生の先にいる85歳の珠が、笑顔で両手を広げていることを。

「最高でーす!」

だから珠に苦しい出来事が起きても、この一言が物語の向こう側にずっと残ります。

「どうしてこの少女が、最後には自分の人生を最高だと言える女性になるのだろう?」

それを半年間かけて見ていく物語だと考えると、冒頭の場面は単なる人物紹介ではありません。

『ブラッサム』という物語のゴールを、最初にほんの少し見せた場面だったとも考えられます。

「最高でーす!」と錦帯橋と桜が同じ場面にある意味

さらに注目したいのが、85歳の珠が「最高でーす!」と言った場所です。

故郷・岩国。

そこには錦帯橋があり、桜が咲いています。

どちらも宇野千代の人生と深く関わるものです。

錦帯橋について、『ブラッサム』の制作側は、何度も上り下りしながら向こう岸へ渡る姿を宇野千代と葉野珠の人生に重ねています。

そして宇野千代にとって桜は、「故郷の花」であり「心の花」でもありました。

波乱の人生を象徴する錦帯橋。

何度でも花を咲かせる桜。

その二つがある故郷で、人生の大半を歩いてきた珠が「最高でーす!」と笑う。

偶然そこに置かれた風景というより、宇野千代という女性を表すものが一つの場面に凝縮されているように見えます。

「最高です」は若い珠がこれから身につけていく言葉なのかもしれない

もう一つ気になるのは、85歳の珠が言う「最高です」と、少女時代の珠との距離です。

若い珠は、まだ何でも自分で決められる女性ではありません。

父の言うことに逆らえず、自分の気持ちより周囲を優先してしまいます。

そんな少女が、これから何度も自分で選択することになります。

失敗することもあるでしょう。

傷つくこともあるでしょう。

それでも最後には、自分が歩いてきた人生を「最高」と言える。

そう考えると「最高です」は、生まれつき楽天的な珠の口癖というより、長い人生の中で珠がたどり着く一つの境地として描かれていく可能性もあります。

宇野千代本人も、さまざまな経験をした晩年に人生や幸福について多くの言葉を残しました。

『ブラッサム』でこれから若い珠がどのように変わっていくのか。

冒頭の「最高でーす!」を覚えておくと、その成長がより面白く見えてきそうです。

まとめ

『ブラッサム』の冒頭で、加賀まりこさん演じる85歳の珠が笑顔で言った「最高でーす!」

これはドラマだけの台詞ではなく、モデルとなった宇野千代が実際によく口にしていた言葉です。

宇野千代は秘書から調子を聞かれると「最高です」と答え、けがで入院しているときにも変わらなかったと伝えられています。

そして宇野千代は「人生はいつだって今が最高」「言葉が感情を引っ張ってくる」といった言葉も残しました。

「最高です」は、何も悪いことが起きなかった人の言葉ではありません。

さまざまな出来事を経験しながら、それでも今を生き、次へ進もうとした宇野千代の人生観を表す言葉だったのでしょう。

だから『ブラッサム』は、少女・珠の人生を描き始める前に、85歳の珠の「最高でーす!」を私たちに見せたのではないでしょうか。

これから珠には、上り坂も下り坂も待っています。

それでも最後には、自分が歩いてきた人生を笑顔で「最高」と言える。

『ブラッサム』は、葉野珠が「最高でーす!」と言える人生をどう作っていったのかを描く物語なのかもしれません。

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