『マレフィセント』呪いをかけた「悪」の心はなぜ「母の愛」に変わったのか?

エンタメ

実写版『マレフィセント』の物語で最も心を揺さぶられるのは、悪の妖精マレフィセントと、呪いをかけられたオーロラ姫の間に育まれる、血の繋がりのない「親子愛」です。

当初、マレフィセントはオーロラ姫の成長を、自身の呪いが成就するのを待つかのように、冷酷な目で遠くから見守っていました。しかし、その眼差しは、次第に温かく、愛情に満ちたものへと変わっていきます。

なぜ、呪いをかけた張本人が、自らの手で愛を育むようになったのでしょうか?この記事では、マレフィセントの心の変化を、時系列に沿って徹底的に考察します。


見守る者から「見守られる者」へ

物語の序盤、マレフィセントはオーロラ姫を「ビースト」と呼び、彼女の成長を嘲笑うかのように見守っていました。しかし、3人の妖精たちが子育てに失敗し、危険な目に遭うたびに、彼女は密かにオーロラ姫を救い、影から見守り続けました。

この「見守る」という行為が、マレフィセントの心を少しずつ変えていきます。彼女は、オーロラ姫の無邪気さ、純粋さ、そして愛らしさに触れるうちに、自らが愛を失った過去を重ねていきます。そして、オーロラ姫は、マレフィセントにとって、「愛を失った自分」を再び見つめ直すための鏡となっていったのです。

孤独を癒す、オーロラ姫の「無垢な心」

オーロラ姫は、マレフィセントを「守護者」と呼び、彼女を恐れるどころか、無垢な心で慕い、愛を注ぎました。

この、何の疑いもない純粋な愛は、ステファンの裏切りによって深く傷つき、心を閉ざしたマレフィセントの心の氷を溶かしていきます。彼女は、オーロラ姫との触れ合いを通して、再び愛される喜びと、愛する喜びを思い出していったのです。

「呪い」を解き放つ、真実の「母の愛」

16歳の誕生日が近づくにつれ、マレフィセントは自らがかけた呪いの恐ろしさを自覚し、後悔の念に駆られます。彼女は呪いを解こうとしますが、それはできませんでした。

しかし、オーロラ姫が呪いによって深い眠りに落ちた時、マレフィセントは初めて、心から涙を流し、彼女への愛を自覚します。この時のキスは、恋愛的な愛ではなく彼女の中に芽生えた「母の愛」から生まれたものです。

マレフィセントのキスが呪いを解いたのは、「母の愛」こそが彼女がかけた呪いよりも強くこの世で最も尊い「真実の愛」だったからです。見返りを求めない無償の愛こそが真実の愛なのです。


まとめ:愛を失った悪が、愛を育んだ物語

『マレフィセント』は、悪の妖精が、無垢な少女との触れ合いを通して、愛を育み、最終的に愛の力で自身を救う物語です。

マレフィセントは、ステファンとの裏切りによって愛を失いましたが、オーロラ姫に注いだ「母の愛」によって、再び愛の力を見つけました。彼女が「悪」から「母」へと変わった軌跡は、愛が、憎しみや絶望をも乗り越える力を持つという、この作品の最も感動的なメッセージを私たちに伝えてくれています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました