ディズニー映画『マレフィセント』は、悪の妖精マレフィセントの物語を描く一方で、彼女を裏切った人間、ステファン王の物語でもあります。
かつては貧しい少年だった彼が、なぜ愛するマレフィセントを裏切り、権力に固執する冷酷な王になったのでしょうか?彼の人生を辿ることで、物語の悲劇が生まれた真の理由が見えてきます。この記事ではそんなステファンとマレフィセントの関係について語りたいと思います。
少年ステファンとマレフィセントの出会い:無邪気な愛の始まり
物語の始まり、少年ステファンは貧しくも野心に満ちた人間でした。彼は、魔法の森「ムーア」に迷い込み、妖精の女王マレフィセントと出会います。
二人は互いの境界を越えて心を通わせ、やがて友情は愛へと変わります。この頃のステファンは、マレフィセントに対して純粋な愛を抱いていました。彼が彼女に「真実の愛のキス」を与えたことは、その無邪気な愛が本物であったことを示しています。
しかし彼の心の中には、貧しい境遇から抜け出し、王になるという強い野心が隠されていました。この野心こそが、やがて彼の人生を狂わせ、愛を裏切る引き金となるのです。
裏切り、そして「愛」を失った王
人間界に戻ったステファンは、王に仕え、やがて大きな野心を抱きます。そんな中、瀕死の王が「マレフィセントを倒した者に王位を継がせる」という布告を出します。
ステファンは、この機会を逃すまいと、愛するマレフィセントを裏切ることを決意します。彼は、彼女が眠っている間に、力の源である「翼」を切り落として王のもとに持ち帰ります。
この裏切りは、マレフィセントの心に深い傷を残しましたが、同時にステファンの心にも消えない傷跡を残しました。彼は愛ではなく、権力を選んだことで、最も大切な心の温もりを失ったのです。王位を手に入れた後も、彼は決して幸せにはなれませんでした。
権力と恐怖に支配された「悲劇の王」
王となったステファンは、マレフィセントへの恐怖と、自身の裏切りに対する罪悪感に苛まれ続けます。
彼は、娘であるオーロラ姫にも愛を与えることができず、ただひたすらマレフィセントの復讐を恐れる日々を送ります。彼の顔はやつれ、その心は孤独と憎しみに支配されていました。
ステファンは、権力を手に入れましたが、それは彼にとって、何よりも重い鎖となりました。彼が最後にマレフィセントと対峙した時、彼の心にはもはや愛はなく、ただ復讐と狂気だけが残っていたのです。
まとめ:ステファンの物語は「欲」がもたらした悲劇
ステファンは、純粋な愛と強い野心の狭間で、悲劇的な人生を歩みました。彼の物語は、「欲望」が愛を蝕み、やがてすべてを破滅させるという、普遍的なテーマを描いています。
彼はマレフィセントを裏切ったことで、彼女だけでなく、自分自身の幸せをも奪いました。彼の悲しい末路は、愛を失った人間の行く末を象徴しているのです。
野心を叶え、王になり幸せになるはずだったステファンは皮肉にも誰よりも不幸になってしまった。この『マレフィセント』は愛の物語。愛を得られなかった者は幸せではないのです。
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