『もののけ姫』ひい様はなぜ偉大な存在なの?曇りなき眼に隠された役割と正体を徹底考察

エンタメ

スタジオジブリの名作『もののけ姫』。物語は、主人公・アシタカが暮らすエミシの村に、タタリ神が襲来する場面から始まります。その混乱の中、アシタカに呪いを解く旅を命じ、物語の始まりを告げたのが、村の長であり巫女であるひい様です。

一見、物語の序章に登場するだけの脇役に思えますが、彼女の存在なくして『もののけ姫』は成立しません。なぜ、ひい様はタタリ神の襲来を予見できたのでしょうか?そして、アシタカに託した「曇りなき眼」という言葉には、一体どのような深い意味が込められていたのでしょうか?この記事では、ひい様の謎に満ちた正体と、物語に与えた影響を考察します。


ひい様の正体は「森の知恵」の継承者

ひい様は、ただの村の長ではありません。彼女は、村に古くから伝わる知恵と、自然の霊的な力を受け継ぐ偉大な巫女です。彼女がタタリ神の襲来を予見できたのは、単なる勘ではなく、自然との深い繋がりがあったからだと言えるでしょう。

ひい様が住むエミシの村は、外界の人間とは異なる、独自の文化と信仰を保っています。彼らは、自然と調和しながら静かに暮らしており、その精神的な拠り所がひい様でした。

彼女は、外界の人間が自然を破壊し、神々の怒りを買っていることを肌で感じ取っていました。タタリ神が村を襲った際、ひい様がアシタカに放った言葉には、単に呪いを解く旅を命じるだけでなく、森の悲しみと怒りを理解し、それを伝える使命をアシタカに託す意味が込められていたのです。

ひい様は、森の知恵と人間の知恵、その両方を知る存在であり、物語の真実を知る語り部のような役割を担っていたのです。


「曇りなき眼で、物事をみろ」に込められた真意

ひい様がアシタカに託した「曇りなき眼で、物事をみる」という言葉は、映画全体を貫く最も重要なテーマの一つです。この言葉は、なぜアシタカが旅の道中で、冷静に物事を判断できたのかを解き明かす鍵となります。

「曇りなき眼」とは、善悪という二元論にとらわれず、ありのままの真実を見抜く洞察力を指します。

  • 人間社会の「曇った眼」: 劇中では、タタラ場の人間は「人間が正しい」と信じ、サンやモロは「人間が悪い」と決めつけ、互いに憎しみを募らせています。彼らの眼は、憎しみによって曇り、相手の真実を見ることができません。
  • アシタカの「曇りなき眼」: しかし、アシタカは違いました。彼は、タタラ場の人々が必死に生きている姿と、森の神々が森を守ろうとする姿、その両方の正義を理解しました。ひい様の言葉があったからこそ、彼はどちらか一方の味方になるのではなく、両者を理解し、共存の道を模索することができたのです。

この言葉は、私たち現代社会にも通じる普遍的なメッセージです。異なる意見を持つ相手を安易に否定するのではなく、その背景にある真実を見極めることの重要性を、ひい様はアシタカを通じて私たちに伝えていたのです。


声優・森光子さんが演じた「母なる存在」

ひい様の存在感は、伝説的な女優、森光子さんの声によってさらに際立っています。森さんの声には、古き良き日本の「母」のような、温かく包み込むような優しさが宿っていました。

森さんの声は、ただセリフを読むだけでなく、ひい様が持つ**「母性」と「威厳」**を完璧に表現しています。アシタカが村を出る際の、悲しみと愛が入り混じったような声の響きは、多くの観客の心を打ちました。

ひい様は、アシタカを旅に送り出す「母なる存在」であり、その温かい声があったからこそ、アシタカは絶望的な旅路の中でも、心の支えを失わずにいられたのかもしれません。森光子さんの演技は、ひい様というキャラクターに、単なる物語の語り部以上の、深い人間性と温かさを与えていたのです。

『もののけ姫』の世界をもっと深く楽しみたい方は、こちらもぜひお読みください。

あわせて読みたい関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました