スタジオジブリの不朽の名作『もののけ姫』に登場する小さな森の精霊、コダマ。彼らの愛らしい姿は多くの人々の記憶に残っていますが、それと同じくらい印象的なのが、彼らが発する独特の「カチカチ」という音です。
この不思議な音は、一体何を意味しているのでしょうか?
そしてコダマにはモデルが存在しているのでしょうか?この記事では、映画の音響やデザインの裏側に隠された、コダマの知られざる秘密に迫ります。
コダマの「カチカチ」という音の正体
コダマの頭がカクカクと動くたびに響く「カチカチ」という音。この音は、単なる演出ではありません。その正体は、アフレコの際に実際に使用された音であり、そのモデルには複数の説が存在します。
最も有名な説の一つは、「拍子木(ひょうしぎ)」です。日本の伝統芸能や祭りで使われる拍子木は、物事の始まりや終わりを告げる際に用いられます。コダマが発する「カチカチ」という音は、森の生命の「鼓動」を象徴しているとも考えられます。彼らが現れる場所は、森が活きている証であり、その鼓動を拍子木のような音で表現しているのかもしれません。
また、「猿の骨を叩く音」という説も存在します。この説は、ジブリのスタッフが、猿の骨を叩いてみた音をコダマの声として採用したというものです。これが事実であれば、コダマの音には、動物たちの死を乗り越えて森が生きている、という深い意味が込められていることになります。
これらの音はコダマの存在感を際立たせるだけでなく、森の奥深さと神秘性を視聴者に伝える上で、非常に重要な役割を担っていたのです。
コダマのモデルは「日本の伝承」と「縄文時代」にあった
コダマの愛らしい姿は、どのようなものからインスピレーションを受けているのでしょうか?
- 日本の伝統的な「木霊(こだま)」
コダマは、日本の森に宿る精霊「木霊」がモデルになっています。木霊は、古来より信仰の対象であり、神聖な存在として扱われてきました。コダマの、どこかユーモラスでありながらも神聖さを感じさせる姿は、この木霊のイメージに非常に近いと言えます。 - 縄文時代の「土偶(どぐう)」
コダマの姿は、縄文時代の遺物である「土偶」と多くの共通点を持っています。特に、コダマの丸みを帯びた頭や、シンプルな目と口、そしてどこか神秘的な佇まいは、縄文時代の土偶と驚くほど似ています。これは、監督である宮崎駿氏が、日本の古代文明や自然との共生に深い関心を寄せていたことの表れでしょう。土偶は、自然の力を借り、安産や豊穣を願うために作られたとされています。コダマの姿に土偶の要素を取り入れたのは、彼らが、森の命の豊かさを象徴する存在であることを示しているのかもしれません。
まとめ:コダマは『もののけ姫』を支える重要な存在だった
コダマは、言葉を話すことはありませんが、その存在自体が『もののけ姫』の世界観を深く、そして豊かにしていました。
- 彼らの発する「カチカチ」という音は、森の命の鼓動や、古来の伝承を意味していた。
- その愛らしい姿は、日本の伝統的な木霊や、縄文時代の土偶にインスピレーションを得ていた。
コダマは、単なる可愛らしいマスコットキャラクターではありません。彼らは、森の健全さを測る指標であり、古代から続く自然と人間の関係を象徴する、重要な存在だったのです。
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