ディズニーアニメーションの傑作『眠れる森の美女』。その豪華絢爛な映像美と、流麗なキャラクターの動きは、今なお多くの人々を魅了し続けています。しかし、この作品が完成するまでには、驚くほど長い時間と莫大な費用が費やされていました。
企画から1951年に制作が始まり、公開された1959年まで、なんと8年!!
そしてディズニーに大赤字をもたらしたこの作品は、一体なぜ、そこまで手間とコストがかかったのでしょうか?その裏には、ウォルト・ディズニーが求めた「究極の芸術性」という、深い理由がありました。
この記事では、知られざる制作秘話などを書いていきたいと思います。
圧倒的な「作画の難易度」が制作を長期化させた
『眠れる森の美女』の制作が8年間にも及んだ最大の理由は、その作画の難易度にあります。
- ゴシック様式とルネサンス様式の再現 ウォルト・ディズニーは、この作品を「動く絵画」として制作することを求めました。中世ヨーロッパのゴシック様式やルネサンス様式を参考に、背景美術やキャラクターの衣装、動きに至るまで、徹底的に緻密なデザインが施されました。特に、マレフィセントが住む城や王子の城は、一枚の絵画として成立するほど精巧に描かれており、当時のアニメーターにとっては想像を絶する作業でした。
- 「超ワイドスクリーン」への挑戦 当時の最新技術であった超ワイドスクリーンに対応するため、背景美術は通常の3倍以上の大きさで描かれました。これにより、映像に圧倒的なスケール感と迫力が生まれましたが、アニメーターの労力も3倍に増えることになりました。
制作費の高騰とディズニー史上最大の大赤字
作画の緻密さを追求した結果、『眠れる森の美女』の制作費は、当時のディズニー映画としては破格の600万ドルに達しました。これは、当時の『白雪姫』の10倍以上にもなる金額です。
しかし、公開された1959年当時の興行収入は振るわず、ディズニーに莫大な大赤字をもたらしました。ウォルト・ディズニーは、この商業的な失敗に大きなショックを受け、一時期、アニメーション事業から手を引くことを考えるほどでした。
『眠れる森の美女』がディズニーの方向性を変えた
『眠れる森の美女』は、商業的には失敗したものの、その芸術的な完成度は今日まで高く評価されています。しかし、この作品がもたらした大赤字は、その後のディズニーの方向性を大きく変えるきっかけとなりました。
ウォルトは、アニメーション映画制作の非効率さを痛感し、よりコストを抑えた制作手法を模索するようになります。この経験が、後のテレビ番組制作や、テーマパーク事業への拡大へと繋がったと言われています。
『眠れる森の美女』は、ディズニーの歴史において、芸術的な頂点であると同時に、商業的な転換点となった、非常に興味深い作品なのです。
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