戦隊ヒーローの色はなぜ5色なのか?チームを象徴するカラーバランスの秘密

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戦隊ヒーローといえば、赤・青・黄・緑・桃の五人が並び立つ姿が思い浮かびます。
この「5色」は、ただのデザインではなく、チームの構成や物語のテーマを象徴する重要な要素です。
なぜ戦隊ヒーローは5色なのか。その理由を文化・心理・映像表現の観点から探っていきます。


ゴレンジャーに始まる5人の原則

1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』が採用した5人編成は、後のシリーズの基本形となりました。
当時の制作チームは、視聴者が「誰がどんなキャラクターか」一目で分かるよう、色で個性を明確に分けたといわれています。
赤・青・黄・緑・桃という色分けは、視覚的な識別のしやすさと、性格のバランスを両立した構成でした。

この「五色のチーム」は日本人にとって馴染み深い構造でもあり、伝統文化に根差したバランス感覚を映しています。


五行思想に通じるバランス感覚

赤=火、青=水、黄=土、緑=木、桃(白)=金。 この色の構成は、古代中国から伝わる「五行思想」と共通点を持っています。
五行とは、宇宙のあらゆるものを構成する五つの要素であり、互いに支え合い、補い合う関係を示します。
まさに戦隊ヒーローの世界そのものです。

ゴレンジャー以降も、戦隊シリーズではこの五行のバランスが意識され、 それぞれの色が「役割」や「心の属性」として描かれてきました。 この構成は心理的にも安定感を与え、チーム全体を調和的に見せる効果があります。


赤を中心とした構図と映像美

映像表現の上でも、5人という数は構図的に非常に美しく、中央にリーダー(レッド)を配置しやすい形です。
左右対称に青と黄、緑と桃が並ぶことで、画面に安定感と華やかさが生まれます。
特にアクションシーンや名乗りポーズでは、この「五人構成のシルエット」が美しいバランスを生み出しています。

また、5人という人数はカメラに収まりやすく、物語上でも全員に見せ場を作りやすいという制作上の利点もありました。


心理的効果とチームの役割分担

5色にはそれぞれ心理的な意味があります。

  • 赤:リーダーシップ・情熱・決断力
  • 青:知性・冷静・誠実
  • 黄:明朗・社交性・エネルギー
  • 緑:優しさ・調和・若さ
  • 桃:愛情・共感・癒やし

これらの色の意味がチーム内の人間関係にそのまま反映されることで、 視聴者は無意識のうちに「このチームはバランスが取れている」と感じるのです。 戦隊シリーズが長年にわたって支持されてきたのは、この心理的な安定感にも理由があります。


時代とともに変化する色の役割

時代を経るにつれ、新しい色が登場することもあります。 黒や白、金、銀などの追加戦士は、チームに新たな要素をもたらす存在として描かれます。 しかし、中心となる五色構成は変わらず、これは物語の根幹としての「チームの調和」を保つための軸なのです。

どれほど新しい戦隊が登場しても、赤・青・黄・緑・桃の5色が基盤であり続けるのは、 この構成が最も人の心に「安心感」を与えるフォーマットだからといえるでしょう。


まとめ|五色のチームは人間社会の縮図

戦隊ヒーローがなぜ5色で描かれるのか。 それは、色という視覚的な要素がチームのバランス、人間の多様性、そして協力の美しさを象徴しているからです。
赤が前に立ち、青が支え、黄が笑いを生み、緑が調和し、桃が優しさを添える。
この五つの力がそろってこそ、チームは真の強さを発揮します。

「五人そろってゴレンジャー!」という言葉には、ただの決め台詞ではなく、 人と人が力を合わせることの大切さが込められているのです。


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