ディズニーアニメーションの傑作『眠れる森の美女』は、1960年に公開され今なお多くの人々を魅了する不朽の名作です。しかし、この美しい物語には、元になった複数の「原作」が存在します。そして、その内容はディズニー映画とは似ても似つかない、非常に残酷で、現代では考えられないほど衝撃的なものでした。
なぜ、ディズニーは原作を大きく変更し、独自の物語を作り上げたのでしょうか?この記事では、原作とディズニー映画の決定的な違いを比較し、その変更に隠された、知られざる真実に迫ります。
ディズニーが採用した二つの原作と、その衝撃的な内容
『眠れる森の美女』の原作として知られているのは、主に以下の二つです。
1. イタリアの作家、ジャンバッティスタ・バジーレの『太陽、月、ターリア』
この物語では、姫は呪いによって眠りにつきますが、目覚めさせてくれるのは王子ではなく、別の国の王です。王は眠っている姫に触れ、そのまま国に帰ってしまいます。その後、姫は双子を産み、そのうちの一人である赤子が、無意識に母親の指を吸ったことで、指に刺さっていた麻の針が抜け、姫は目を覚まします。
そして、王には既に王妃がおり、怒った王妃は、姫と双子を殺そうと企みます。王はそれを知り、王妃を殺して姫と結婚するという、非常に衝撃的な結末です。
2. フランスの作家、シャルル・ペローの『眠れる森の美女』
こちらも、呪いによって眠りにつくまではディズニーと同じです。しかし、姫が眠りについた後、王子が姫を助けに来たときには、既に100年が経過しています。目覚めた姫と王子は結婚し、二人の子供をもうけます。
しかし、王子の母親は人食い鬼でした。彼女は、姫と子供たちを食べてしまおうと画策しますが、最終的には暖炉に突き落とされ、燃え尽きてしまいます。
ディズニーが原作を大きく変更した、3つの理由
これらの原作とディズニー映画を比べると、その内容があまりにも異なることが分かります。ディズニーは、なぜこれらの要素を排除し、独自の物語を作り上げたのでしょうか?
1. 家族向けの「健全な」物語にするため
最も明白な理由は、家族で楽しめる健全な映画にするためです。王による暴行、人食い鬼の母親、王妃を殺害する結末など、暴力や残酷な描写が多すぎるため、子供向けのアニメーションとしては不適切だと判断されたからです。
2. 「真実の愛のキス」というテーマの強調
原作では、姫が目を覚ますのは偶然によるもので、そこには愛の要素がありません。ディズニーは、愛の力をテーマに据えるため、王子が姫を「真実の愛のキス」で目覚めさせるという、ロマンチックな展開に変更しました。これにより、王子と姫の愛が、呪いという運命を打ち破る、物語の重要な力となりました。
3. 悪役「マレフィセント」の創出
原作には、ディズニー映画のような強烈なカリスマ性を持つ悪役「マレフィセント」は登場しません。ディズニーは物語にドラマと緊張感を生み出すため、彼女を「悪の化身」として創り上げ、物語の対立構造をより明確にしました。
まとめ:『眠れる森の美女』はディズニーが創造した「新しいおとぎ話」
『眠れる森の美女』は、単なる原作の映画化ではありませんでした。それは、ディズニーが、残酷な原作を、愛と希望に満ちた、新しい「おとぎ話」として創造し直した、壮大な試みだったのです。
原作の衝撃的な内容は、ディズニーが作品に込めたメッセージや、エンターテイメントとしての役割をより深く理解する上で、非常に興味深い視点を与えてくれます。
今では原作よりも『眠れる森の美女』といえばディズニー版の物語を思い浮かべる方がほとんではないでしょうか?それだけ素晴らしい作品として今なお愛されているからだと思います。
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