映画では語られない“漂と嬴政”の関係とは?
『キングダム』の物語は、信(しん)と漂(ひょう)、そして嬴政(えいせい)との出会いから始まります。
映画第1作では、漂が「信の親友」であり、「王宮の陰謀に巻き込まれた青年」として描かれていますが、実は原作ではもっと深い“役割と絆”が設定されているのです。
特に注目したいのが、漂と嬴政が「瓜二つの容姿を持つ存在」であったという設定。
これは映画では軽く触れられる程度ですが、原作では物語の鍵を握る重要な要素となっています。
原作では“瓜二つの容姿”が鍵だった──すり替わり計画の真相
原作『キングダム』では、漂は王宮の重臣・昌文君によって、「嬴政の影武者」として王宮に送り込まれます。
これは、嬴政と漂の顔があまりにも似ていたことを利用した極秘作戦。
王宮内で命を狙われる危険が高まる中、漂が嬴政のふりをして宮廷に入り、
その間に本物の嬴政は脱出して身を隠す──という“すり替わり”の計画だったのです。
つまり、漂の死は単なる偶然や陰謀に巻き込まれたものではなく、嬴政を守るために引き受けた役目の果てでした。
漂の死が嬴政を動かした──本当の意味での“矛の継承”
漂は命を落とす直前、信に「この地図を持って“あの男”に会え」と言い残します。
この“あの男”こそが、後の始皇帝・嬴政。
漂は自分の命の終わりを悟りながら、信に「王を守れ」という意志を託しました。
嬴政にとっても、漂の死は単なる部下や影武者の死ではありません。
彼は、漂の命がけの行動を「自分が成し遂げなければならない中華統一の礎」として、
その死に“重みと責任”を背負って生きる覚悟を決めたのです。
漂は信に何を託したのか?“橋渡し役”としての使命
漂と信の関係は「兄弟同然の親友」。
漂は信の強さを認め、未来に希望を託しながら、王宮に旅立ちました。
そして、嬴政の本質と未来を信に託す“橋渡し”の役割を果たしたのです。
信と嬴政の運命的な出会いの背後には、漂という“静かな導き手”の存在があったのです。
嬴政と漂は似て非なる者だった|心の強さと立場の違い
容姿は瓜二つでも、漂と嬴政は正反対の存在でした。
- 漂:信とともに笑い合い、自由に生きようとした少年
- 嬴政:王族として孤独の中で育ち、国家を背負う宿命の持ち主
しかし2人に共通していたのは、「強さとは何か」を知ろうとする意志。
漂は命をもって王を守り、嬴政は漂の死をもって国家を背負う。
その“非対称な覚悟”の重なりこそが、キングダムという物語を突き動かす原動力となったのです。
まとめ|短い出会いと永遠の影──2人の絆が物語を動かした
漂と嬴政。
直接的な関係は短く、映画ではわずかな場面でしか交わりません。
しかし、漂の存在こそが信と嬴政をつなげ、物語を始動させた“火種”でした。
顔は同じでも、生き方は違う。
それでも、2人の意志はひとつに重なり──
「中華統一」という夢へと、確かに引き継がれていった。
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