『もののけ姫』アシタカの旅立ちに隠された真実!「髷を切る」行為と名前の意味を徹底考察

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スタジオジブリの名作『もののけ姫』は、主人公・アシタカが故郷の村を追われ、旅に出る場面から始まります。彼は村を襲ったタタリ神の呪いを解くため、そして自らの運命を知るために旅に出ました。

しかし、この旅立ちは、単なる冒険の始まりではありません。故郷を離れる直前、彼は自らの髷(まげ)を切り落とすという、印象的な行動をとります。

なぜ、アシタカは呪いをかけられなければならなかったのか?そして、なぜ彼は「髷を切る」という行為に及んだのでしょうか?この記事では、この物語の序章に隠された深い意味と、「アシタカヒコ」という名前に込められた真実に迫ります。


アシタカの呪いと、その代償

アシタカは、村を襲ったタタリ神(元・ナゴの守)を退ける際に、右腕に深い呪いを受けました。この呪いは、彼に超人的な力を与えると同時に激しい痛みをもたらし、いずれは彼を死に至らしめるものでした。

この呪いは、単なる怪我ではありません。それは、森を破壊しようとする人間へのナゴの守の「憎しみ」そのものです。呪いがアシタカの体に宿ったことは、彼が人間と自然、双方の運命を背負ったことを象徴しています。

この呪いによって、アシタカは村に留まることができなくなりました。彼が村にいれば、呪いは村全体を蝕んでしまうからです。故郷を去るという過酷な運命は、彼の「血」とは無関係に外から持ち込まれた「罪」によってもたらされたのです。


「髷を切る」という行為に込められた決意

アシタカは村を去る前、自らの髷を刀で切り落とします。この行為は、単なる髪型の変更ではありません。日本古来の文化において、髷は**身分や所属、そして「生き様」**を象徴する、非常に重要なものでした。

  • 「身分の放棄」 アシタカは、エミシの村の末裔にして、「アシタカヒコ」という称号を持つ、村の未来を背負う王子でした。髷を切ることは、この高貴な身分と次期指導者としての立場を自ら放棄することを意味します。彼は、もはや村の者ではなく孤独な「よそ者」として旅に出たのです。
  • 「過去との決別」 髷は、故郷、家族、そして彼が愛したカヤとの繋がりを象徴していました。それを自ら断ち切ることで、彼は二度と故郷には戻らないという、強い覚悟を表明しました。この行為は、彼の旅がどれほど過酷で、戻ることのできないものであるかを、観客に強く印象づけます。

「アシタカヒコ」から「アシタカ」へ名前が示す変化

アシタカの名前にも、この旅立ちの重みが込められています。

エミシの村の王子としての彼の正式な名は「アシタカヒコ」です。「ヒコ」は「彦」と書き、「皇子」や「立派な男性」といった意味を持つ尊称です。しかし村を去った彼は、もうその称号を名乗りません。

彼はただの「アシタカ」として、名もなき旅人となりました。この名前の変化は、彼が特定の部族や思想に縛られることなく「曇りなき眼で、物事をみる」という使命を果たすための準備でした。

アシタカは、どちらか一方の味方になるのではなく、人間と自然の双方の真実を見極めるために、あえて全ての繋がりを断ち切ったのです。


まとめ:呪いがアシタカを「ヒーロー」にした

アシタカにかけられた呪い、髷を切る行為、そして名前の変化は、彼を単なる村の王子から、物語全体の「語り部」へと変貌させました。

  • 呪いは、彼に絶望を与えながらも、彼を故郷から解放し、物語の中心へと導きました。
  • 髷を切るという行為は、彼が過去の身分を捨て、孤独な道を選ぶ決意を象徴していました。
  • 名前の変化は、彼が特定の思想に囚われず、中立的な立場を貫くための準備でした。

アシタカの旅は、単に呪いを解くためだけのものではありませんでした。それは、彼が自らの手で過去との繋がりを断ち切り、人間と自然の共存という、より大きな問題と向き合うための覚悟を示す儀式だったのです。

『もののけ姫』の世界をもっと深く楽しみたい方は、こちらもぜひお読みください。

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