Netflixドラマ『SとX』を見て、
「原作漫画はどんな結末なの?」
「霜鳥と佑美は原作では最後どうなる?」
「ドラマとは違う終わり方なの?」
と気になった人も多いのではないでしょうか。
多田基生さんによる原作漫画『SとX ~セラピスト霜鳥壱人の告白~』は、全3巻で完結しています。
最終話のタイトルは「大丈夫だよ」。
この言葉が象徴するように、原作のラストは霜鳥の問題が突然すべて解決するような終わり方ではありません。
長い間、人と深く関わることを恐れてきた霜鳥が、ようやく自分の過去を佑美に打ち明け、そんな自分を受け止めてもらうところで物語は一つの区切りを迎えます。
この記事では、『SとX』原作漫画の結末、霜鳥と佑美が最後どうなったのか、そして最終話「大丈夫だよ」に込められた意味を解説します。
※ここからは原作漫画最終回までの重要な内容に触れます。
『SとX』原作の結末はどうなった?
結論からいうと、原作『SとX』の最後では、霜鳥が自分の過去を佑美に打ち明け、それを佑美が受け止めるという結末を迎えます。
霜鳥は物語を通して、さまざまな相談者の悩みに向き合ってきました。
相手を否定せず、その人自身が何を感じているのかを聞く。
簡単に「普通」や「正解」を押しつけない。
そんな霜鳥ですが、自分自身にも長年誰にも言えない悩みがありました。
その原因となっているのが、幼い頃に経験した両親をめぐる出来事です。
霜鳥はその経験から、誰かと深くつながることに強い不安を抱えるようになりました。
そして佑美と再会して恋愛関係になってからも、その問題を乗り越えることができずに苦しみます。
最終的に霜鳥は一度、佑美との関係を終わらせようとします。
しかし、離れることが本当に自分の望んでいる答えなのかを考え直します。
そして最後には逃げるのではなく、佑美に自分自身の過去を話す道を選ぶのです。
霜鳥はなぜ佑美と別れようとした?
霜鳥が佑美との関係を終わらせようとしたのは、彼女への気持ちがなくなったからではありません。
むしろ反対です。
佑美が大切な存在になったからこそ、霜鳥は苦しくなってしまいました。
霜鳥の中には、幼い頃の経験によって、
「人と深くつながれば、その分だけ傷つくかもしれない」
という恐れが残っています。
人の悩みには冷静に向き合えるのに、自分自身の恋愛となると過去の記憶に引き戻されてしまう。
専門家としての知識を持っていても、自分の心だけは思い通りになりません。
そして霜鳥は、佑美をこれ以上傷つけるくらいなら、自分から離れた方がいいと考えます。
一見すると佑美を思いやった決断にも見えます。
しかし同時にそれは、霜鳥がこれまで続けてきた「傷つく前に人との距離を取る」という生き方でもありました。
原作最終回では、霜鳥がその生き方を変えられるのかが大きな焦点になります。
最終回で霜鳥は佑美に過去を告白する
別れを決めた霜鳥ですが、佑美と離れたあと、自分自身の気持ちと改めて向き合います。
過去の記憶は消えない。
これからも苦しむことがあるかもしれない。
それでも佑美が自分にとって特別な存在であることまで、否定する必要はない。
霜鳥はようやくそのことに気づきます。
そして自分のもとへ来てくれた佑美に、これまで心の奥に閉じ込めてきた過去を打ち明けます。
ここは原作『SとX』における非常に重要な場面です。
なぜなら霜鳥は、それまでずっと人の話を聞く側だったからです。
相談者には「一人で抱えなくてもいい」と伝えながら、自分自身は誰にも話すことができなかった。
そんな霜鳥が最後に「話す側」になります。
これは単なる過去の告白ではありません。
霜鳥が初めて、自分の弱い部分まで含めて誰かに見せようとした瞬間なのです。
佑美は霜鳥の過去をどう受け止めた?
霜鳥から過去を聞いた佑美は、彼を否定しません。
無理に問題を解決しようとすることもありません。
そして霜鳥に、そのままで大丈夫だという思いを伝えます。
原作最終話のタイトルが「大丈夫だよ」なのは、この結末と深くつながっています。
この言葉が印象的なのは、「もう何も問題はない」という意味ではないところです。
霜鳥の過去が消えたわけではありません。
長年抱えてきた不安も、一瞬ですべてなくなるわけではないでしょう。
それでも、
過去があってもいい。
今すぐ変われなくてもいい。
その状態の霜鳥でも、一緒にいることはできる。
佑美が伝えたのは、そんな「受け入れること」だったのではないでしょうか。
『SとX』という作品が繰り返し描いてきた、相手を自分の価値観に合わせようとするのではなく、その人自身を理解しようとする姿勢が、最後には霜鳥自身へ向けられます。
原作で霜鳥と佑美は結ばれた?
「結局、霜鳥と佑美は結ばれたの?」
という点も気になるところでしょう。
原作のラストは、二人の関係について分かりやすいゴールを示して終わる作品ではありません。
大切なのは、二人が形式的にどんな関係になったのかより、霜鳥が佑美との関係から逃げなかったことです。
それまでの霜鳥なら、自分の問題によって相手を傷つける可能性があると考えた時点で、関係そのものを終わらせようとしていました。
しかし最後には、自分の過去を佑美に話します。
これは霜鳥にとって非常に大きな変化です。
誰かと深く関わるということは、完璧な自分だけを見せることではありません。
弱さも、悩みも、簡単には解決できない問題もある。
それでも相手と向き合っていく。
霜鳥と佑美は、そんな関係への第一歩を踏み出したところで原作の物語を終えています。
原作のラストはハッピーエンド?
原作『SとX』の結末は、ハッピーエンドと考えてよいでしょう。
ただし、すべての問題が解決するタイプのハッピーエンドではありません。
霜鳥は突然別人のように変わったわけではなく、過去そのものも消えていません。
だからこそ、この結末には現実味があります。
長年抱えてきた問題が、誰かに話しただけですべて解決するとは限りません。
それでも、一人で抱えていたものを誰かと共有することで、これまでとは違う一歩を踏み出すことはできます。
霜鳥にとって重要だったのは、
「もう悩まなくなった」
ことではなく、
「悩みを抱えている自分でも、誰かと一緒にいていい」
と思えるようになったことなのでしょう。
原作のラストは、完成された幸せを見せるのではなく、これから幸せを築いていける可能性を示して終わっています。
最終話「大丈夫だよ」の意味を考察
原作最終話のタイトル「大丈夫だよ」は、『SとX』という作品全体を象徴する言葉でもあります。
霜鳥のもとを訪れる相談者たちは、それぞれ違った悩みを抱えています。
しかし、その根底には似た不安があります。
「自分はおかしいのではないか」
「普通ではないのではないか」
「こんなことを誰かに話してもいいのだろうか」
霜鳥は、そんな人たちの話を聞き続けてきました。
そして相手を否定するのではなく、その人が自分自身を受け入れられるよう寄り添います。
ところが最後には、霜鳥自身が同じ立場になります。
自分には人と深く関わる資格がないのではないか。
佑美を幸せにできないのではないか。
そんな霜鳥に対して、今度は佑美が「大丈夫」と伝える。
つまり原作の最後では、これまで人に寄り添ってきた霜鳥自身が、誰かに寄り添ってもらうのです。
この立場の逆転が、『SとX』の結末をより印象的なものにしています。
霜鳥はトラウマを克服したわけではない
原作の結末を理解するときに、「霜鳥がトラウマを克服した」と単純に考えない方がよいでしょう。
最終回で描かれたのは、過去を完全に乗り越えた霜鳥ではありません。
むしろ、自分の中にまだ解決できないものがあることを認めた霜鳥です。
ここが『SとX』らしいところです。
自分の問題を無理に消そうとするのではなく、
「今の自分はこういう状態なんだ」
と認める。
そして、それを誰かに話す。
霜鳥は専門家でありながら、自分自身も悩みを抱えた一人の人間です。
そのことを認められたからこそ、佑美との関係も新しい段階へ進むことができました。
霜鳥が最後に手に入れたのは「完璧な自分」ではありません。
完璧ではない自分を受け入れてくれる人との関係だったのだと思います。
ドラマ版と原作では結末の見せ方が違う
Netflixドラマ版と原作漫画では、霜鳥が過去と向き合うという大きなテーマは共通しています。
ただし、その結末までの見せ方には違いがあります。
ドラマ版では、霜鳥と佑美の関係が週刊誌に報じられ、霜鳥の家族の過去まで世間の注目を集めます。
さらに最終回では、佑美と母親のいる療養施設を訪れた霜鳥が、TVで自分自身について語る決断をします。
一方、原作のラストでより強く描かれているのは、霜鳥と佑美という二人の間で起きる心の変化です。
霜鳥が過去を打ち明ける。
佑美がそれを受け止める。
その静かなやり取りによって、霜鳥が人との関係から逃げずに一歩を踏み出す姿が描かれます。
ドラマ版は「社会に向けて自分の言葉で語る霜鳥」。
原作は「大切な人に自分の弱さを見せる霜鳥」。
同じ主人公の成長を描きながら、結末の見せ方にはそれぞれの特徴があります。
原作は全3巻で完結している
原作『SとX ~セラピスト霜鳥壱人の告白~』は、コミックス全3巻で完結しています。
第3巻では、佑美との交際が世間に知られたことをきっかけに、霜鳥自身が抱えている問題が物語の中心へと移っていきます。
それまで相談者たちの悩みに向き合ってきた霜鳥が、最後には自分自身の問題と向き合う。
その意味でも、全3巻を通した主人公・霜鳥壱人の物語として、きれいに一つの区切りがついています。
なお、『SとX』という作品世界そのものには、このあとにも展開があります。
ただし、それについては「原作の結末」とは別の話になります。
ここでは、旧作『SとX ~セラピスト霜鳥壱人の告白~』が、霜鳥と佑美の関係に一つの答えを示して完結したと理解しておけばよいでしょう。
まとめ
『SとX ~セラピスト霜鳥壱人の告白~』は全3巻で完結し、最終話「大丈夫だよ」で霜鳥と佑美の関係に一つの区切りがつきます。
霜鳥は一度、佑美との関係を終わらせようとします。
しかし最後には逃げるのではなく、これまで誰にも話せなかった自分の過去を佑美に打ち明けました。
そして佑美は、問題をすぐに解決することを求めるのではなく、今の霜鳥をそのまま受け止めます。
霜鳥の過去が消えたわけではありません。
長年抱えてきた不安も残っています。
それでも、悩みがあるから誰とも深く関われないのではなく、悩みを抱えた自分でも誰かと一緒にいていいと霜鳥が知ることができた。
それこそが原作の結末だったのではないでしょうか。
これまで相談者たちに寄り添ってきた霜鳥が、最後には自分自身も誰かに受け止めてもらう。
最終話「大丈夫だよ」は、霜鳥だけでなく、さまざまな悩みを抱えてきた登場人物たちにも重なる、『SとX』らしい優しい言葉で物語を締めくくっています。


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