記事上部

『ブラッサム』珠の流産は実話?宇野千代が子どもを失った経験と史実を解説

エンタメ

NHK連続テレビ小説『ブラッサム』の11月3日放送・第27回で、珠が赤ちゃんを亡くすという悲しい出来事が描かれました。

保との結婚が決まり、これから生まれてくる子どもとの暮らしを楽しみにしていた珠。

新しい生活に向けて準備を進めていた矢先の出来事に、胸が痛くなった方も多かったのではないでしょうか。

実は、このエピソードには、主人公・珠のモデルとなった作家・宇野千代の実体験が反映されています。

宇野千代も若いころに複数回の妊娠を経験し、子どもを失った悲しみについて晩年に語っていました。

今回は、珠に起きた出来事を振り返りながら、宇野千代が残した言葉や史実、制作陣がこの場面を描いた理由について紹介します。

『ブラッサム』珠の流産は実話?宇野千代も子どもを亡くしていた

珠が赤ちゃんを亡くしたエピソードは、宇野千代の人生にあった出来事をもとに描かれています。

宇野千代は、2番目の夫・藤村忠と暮らしていた時期に複数回の妊娠を経験し、子どもを育てることができなかったと語っています。

2026年11月3日に公開された制作統括・村山峻平さんのインタビューでも、宇野千代の出産に関する記録を調べ、ドラマに取り入れたことが明かされました。

ただし、ドラマの出来事が、そのまま宇野千代の体験を再現したものではありません。

珠が外出先で体調を崩す場面や、鞠を持った少女との出会いなどは、作品として構成された描写です。

宇野千代が経験した悲しみを、珠という人物の人生に重ねて表現しているのです。

珠は妊娠7か月で早産し、赤ちゃんを亡くした

第27回では、珠と保が北海道・札幌で新生活を始めることを決めていました。

珠は出産に備えて、勤めていた西洋料理店「悠樂軒」を辞めることにします。

店の人たちや、常連客だった黒崎編集長、山中副編集長、秋山格之介たちにも別れの挨拶をしました。

小説を書くことから少し離れ、まずは生まれてくる子どもとの生活を大切にしようと考えていた珠。

家では、赤ちゃんのためによだれ掛けや肌着、おしめを縫い、出産を心待ちにしていました。

買い物の途中で突然起きた異変

ある日、珠は一人で買い物に出かけます。

途中でベンチに腰かけて休んでいると、足元に鞠が転がってきました。

そこへ幼い少女が現れ、珠は鞠を拾って手渡します。

少女が走り去った後、珠は突然、体の異変に気づきます。

激しい痛みに襲われ、その場にうずくまってしまいました。

その後の場面で、珠が妊娠7か月で早産し、赤ちゃんを亡くしたことが分かります。

保に語った赤ちゃんとの短い時間

下宿に戻った珠は、布団に横になっていました。

保が食事を運んでくると、珠は生まれた赤ちゃんを抱いたことを話します。

とても小さく、人形のようだった赤ちゃん。

珠は、その子がどこへ行ってしまったのかと涙を流します。

保はそんな珠を抱き締め、悲しみに寄り添いました。

二人が赤ちゃんの誕生を楽しみにしていたことを知っているだけに、言葉にならないほど切ない場面でした。

珠の出来事は流産?早産との違いについて

放送後には「珠は流産したの?」と気になった方も多かったようです。

今回のドラマについて、制作側や報道では「妊娠7か月での早産によって子どもを失った」と説明されています。

日本の医学的な分類では、妊娠22週未満で妊娠が終わることを流産、妊娠22週から37週未満で出産することを早産と呼びます。

珠は妊娠7か月だったため、医学的には早産にあたります。

ドラマでは、珠が赤ちゃんを抱いたことも語られています。

そのため、単に「流産した」と説明するよりも、早産によって生まれた赤ちゃんを亡くしたと表現するほうが、劇中の出来事を正確に伝えられます。

宇野千代は何人の子どもを亡くした?本人が語った経験

宇野千代は、作家・瀬戸内寂聴との対談で、子どもを失った経験について語っています。

その内容は、瀬戸内寂聴の著書『わたしの宇野千代』に収録されています。

対談の中で宇野千代は、藤村忠との間に授かった6人の子どもを亡くしたことを明かしています。

また、妊娠7か月になる前後で出産に至ってしまうことが多かったとも振り返っていました。

この「7か月」という時期は、ドラマで珠が早産した時期とも重なります。

藤村忠は保のモデルとなった人物

藤村忠は、宇野千代の2番目の夫です。

最初の夫・藤村亮一の弟であり、京都の旧制高等学校から東京帝国大学へ進んだ人物でした。

ドラマの木村保が、珠の最初の夫・亨一の弟で、優秀な学生として描かれているのも、この史実と共通しています。

宇野千代と藤村忠は1919年に結婚し、その後、北海道・札幌で暮らしました。

ドラマで珠と保が札幌への移住を決めているのも、二人の歩みを参考にした展開です。

6人の子どもを亡くした経緯は詳しく分かっていない

宇野千代が6人の子どもを亡くしたと語っている一方で、それぞれの妊娠や出産について、詳しい記録が残されているわけではありません。

流産、早産、出産後の死別がそれぞれ何回あったのかも、本人の証言だけでは正確に分けることができません。

制作統括の村山さんも、宇野千代の出産に関する資料が少なく、ドラマに取り入れる際には慎重に検討したと説明しています。

宇野千代が子どもを失ったことは本人の言葉から確認できますが、その一つひとつの経緯まで明らかになっているわけではないのです。

宇野千代は晩年の作品で子どもを失った悲しみを綴っていた

宇野千代は、自伝的小説『生きて行く私』では、早産について詳しく触れていません。

一方、晩年のエッセイ『九十歳、イキのいい毎日』では、早産によって子どもを育てられなかった経験について綴っています。

宇野千代といえば、自由奔放な生き方や恋愛遍歴、前向きな言葉で知られる作家です。

しかし、その長い人生には、子どもを失うという深い悲しみもありました。

晩年になって自身の経験を文章に残したことには、千代にとって大切な意味があったのかもしれません。

小説『私と子供』にも子どもを失う物語がある

宇野千代の作品には、『私と子供』という短編小説もあります。

この作品では、主人公が生まれたばかりの娘を亡くす出来事が描かれています。

宇野千代自身の経験と重なる部分がありますが、小説の登場人物や出来事を、そのまま実際の家族の記録として扱うことはできません。

それでも、子どもを失った悲しみが、宇野千代の文学の中にも描かれていたことが分かります。

鞠を持った少女は誰?あの場面に込められた意味

第27回で印象的だったのが、珠の前に現れた幼い少女と鞠の場面です。

少女は突然現れ、珠から鞠を受け取ると、どこかへ走り去ってしまいました。

その直後に珠の体に異変が起こったことから、少女の存在には何か意味があるのではないかと感じた方もいるでしょう。

鞠は生まれてくる子どもを象徴していた?

制作統括の村山峻平さんによると、この場面では当初、紙風船を使う案もあったそうです。

しかし、時代背景などを考慮し、当時の縁起物でもあった鞠が選ばれました。

村山さんは、鞠が珠のもとへ転がってきて、再び離れていくという動きに意味を持たせたことを説明しています。

珠のもとへ訪れ、短い時間で去ってしまった小さな命。

鞠の動きには、そんな赤ちゃんとの別れが重ねられているように感じられます。

少女は赤ちゃんの姿だったのか

少女が珠のおなかにいた子どもを表していたのではないか、という見方もできます。

ただ、制作側は、この場面の意味を一つに限定してほしくないとも説明しています。

少女を未来の子どもの姿と受け取る人もいれば、珠の心に浮かんだ情景として受け止める人もいるでしょう。

幼い少女が静かに去っていく場面には、言葉で説明しきれない余韻がありました。

その解釈を視聴者に委ねた演出だったのだと思います。

制作陣が宇野千代の悲しい経験を描いた理由

『ブラッサム』の制作陣は、珠が子どもを失うエピソードを描くかどうか、何度も話し合ったそうです。

宇野千代自身が多くを語らなかった経験であり、資料も限られていたためです。

それでも制作統括の村山さんは、宇野千代の人生を描くうえで大切な出来事だと考えました。

宇野千代は、さまざまな悲しみを経験しながらも、晩年まで明るさを失わず、人々を励ます言葉を残しています。

その人生を描くには、明るく自由な姿だけでなく、心の中に抱えていた悲しみにも目を向ける必要があったのでしょう。

珠がこの経験をどう受け止め、これからどのように生きていくのか。

今回の出来事は、珠の人生を描くうえで大きな意味を持つことになりそうです。

保は珠をどう支える?二人のこれから

赤ちゃんを亡くした後、珠は深い悲しみの中にいました。

そんな珠のそばにいたのが、夫の保です。

保は珠に食事を運び、赤ちゃんのことを思い出して涙を流す珠を、そっと抱き締めました。

保もまた、生まれてくる子どもとの暮らしを楽しみにしていた一人です。

それでも、珠の悲しみを受け止めようとする姿に、保らしい思いやりが感じられました。

二人が悲しみを抱えながら、どのようにこれからの生活を築いていくのか。

珠だけでなく、保の気持ちにも目を向けながら見守りたいと思います。

まとめ

『ブラッサム』第27回で描かれた珠の早産と赤ちゃんとの別れは、モデルとなった宇野千代の経験をもとにしたエピソードです。

宇野千代は、藤村忠との間に授かった子どもを複数回亡くしたことを、後年の対談で語っています。

また、晩年のエッセイにも、早産によって子どもを育てられなかった悲しみを残していました。

珠の前に現れた少女と鞠の場面は、短い時間で去っていった命を思わせる、静かで印象的な演出でした。

これから珠と保がどのように日々を過ごし、再び前を向いていくのか。

二人が互いを思いやりながら、自分たちの歩みを続けていけることを願いたいですね。

『ブラッサム』関連記事

珠を支えてきた保の優しさや、モデルとなった藤村忠の人物像についても紹介しています。

珠の父・清治が働かなかった理由と家族への思いについてはこちら。

▶ 『ブラッサム』父・清治はなぜ働かない?宇野千代の父との共通点を考察

珠の生い立ちと、実の母・ユリについても解説しています。

▶ 『ブラッサム』珠の本当の母親は誰?リョウとユリの関係を解説

コメント

タイトルとURLをコピーしました