NHK朝ドラ『ブラッサム』で、主人公・葉野珠の同級生として登場する角田忍。
木竜麻生さんが演じる忍は、女性が自由に生き方を選べない時代に、自分の意見をはっきりと口にする行動力のある女性です。
第6回では、珠たちに同人誌を作ろうと提案しました。
その提案から生まれたのが、同人誌『黎明』です。
さらに忍は、婦人記者になることを目指して東京へ向かう展開が予定されています。
この角田忍には、実在するモデルがいるのでしょうか。
珠のモデルとなった作家・宇野千代にも、女学校時代に文学好きの仲間がいました。
しかも宇野千代は、仲間と同人誌を作り、雑誌に作品を投稿していたのです。
忍のモデルを探りながら、同人誌『黎明』の元になった史実や、忍が上京を選ぶ理由を見ていきましょう。
『ブラッサム』角田忍は何者?珠の同級生で行動力のある女性
角田忍は、珠が通う山口第二高等女学校の同級生です。
忍を演じているのは、俳優の木竜麻生さん。
反骨心が強く、行動力にあふれた性格で、同級生たちの中でも自分の考えを積極的に口にする人物です。
当時の女学校では、結婚して家庭を守る女性を育てる「良妻賢母」の教育が重視されていました。
女性は結婚して家庭に入ることが幸せだと考えられ、将来の選択肢も限られていた時代です。
しかし忍は、そんな考え方に疑問を抱いています。
女性だって自分の意見を持ち、自由に生き方を決めてもいいのではないか。
忍の行動には、そんな思いが表れています。
本を読むことや物語を書くことが好きな珠にとって、忍は同じように自由を求める友人であり、文学の世界へ踏み出すきっかけをくれる存在でもあります。
角田忍に実在モデルはいる?宇野千代の女学校時代の文学仲間がヒント
角田忍のモデルを考えるうえで注目したいのが、宇野千代の女学校時代です。
宇野千代は1910年、13歳で岩国高等女学校に入学しました。
当時の女学校では裁縫などの授業が多く、女性として家庭を支えるための教育が行われていました。
しかし宇野千代は、文学に強い関心を持つようになります。
1913年、16歳の頃には『青鞜』や『第三帝国』などの雑誌を読み、文学好きの仲間と交流していました。
そして変名を使い、文芸雑誌『女子文壇』へ作品を投稿しています。
この頃の宇野千代の活動は、ドラマで珠たちが同人誌を作る姿とよく似ています。
特に忍は、自分の考えを表現するために仲間へ同人誌作りを呼びかける人物です。
宇野千代が文学仲間と活動を始めた史実を、ドラマでは忍という人物を通して描いているのかもしれません。
実際の文学仲間の中に忍と同じ名前の女性がいたという記録は、今回確認した資料にはありませんでした。
それでも、忍の行動には宇野千代の青春時代を思わせる要素が数多く見られます。
忍が同人誌『黎明』を作ろうと言い出した理由
第6回では、忍が同級生たちに同人誌を作ることを提案しました。
きっかけになったのは、女性が自分の生き方を自由に決められない現状への不満です。
女学校では良妻賢母になることを求められ、卒業後には結婚や家庭生活が待っている。
そんな将来に疑問を感じていても、当時の女性が自分の意見を公の場で発表する機会は多くありませんでした。
そこで忍が提案したのが、自分たちで文章を書き、一冊の同人誌にまとめることです。
第7回では、珠たちが作品を持ち寄り、『黎明』が完成します。
忍が書いたのは、女性の地位向上を訴える論文でした。
一方、珠はトルストイの『イワンの馬鹿』をもとに、主人公を女性に置き換えた小説『やさしいアンナ』を執筆します。
同じ同人誌に参加していても、二人の表現方法は違います。
忍は社会の仕組みに疑問を投げかけ、珠は物語を通して自分の思いを表現する。
この違いが、後に二人が選ぶ道にもつながっていきそうです。
同人誌『黎明』には実在モデルがある?宇野千代の『海潮音』とは
ドラマに登場する同人誌『黎明』にも、宇野千代の実際の経験が反映されていると考えられます。
宇野千代顕彰会の年譜には、1913年に同人誌『海潮音』に関わった記録があります。
宇野千代が16歳の頃です。
女学校時代に文学仲間を作り、自分たちで文章を書いていたことが分かります。
さらに1915年には、回覧文芸誌『海鳥』にも参加しています。
『海鳥』には小説や詩、短歌などが掲載されていました。
つまり宇野千代は、作家として世に出る前から、仲間と作品を読み合い、文章を発表する経験を積んでいたのです。
ドラマの『黎明』は、こうした宇野千代の文学活動をもとにしたものと考えられます。
『黎明』という名前には、夜明けや新しい時代の始まりという意味があります。
女性が自由に生きられる時代を求める忍たちにとって、ふさわしい名前ではないでしょうか。
そして珠にとっても、『黎明』は自分の書いた小説を初めて仲間に読んでもらう大切な経験になりました。
忍はなぜ上京する?婦人記者を目指す理由
忍は今後、東京へ向かう展開が予定されています。
その理由は、婦人記者になるという夢を実現するためです。
女学校を卒業すれば結婚して家庭に入る。
そんな周囲の期待に従うのではなく、忍は自分で仕事を選ぼうとします。
この選択は、女学校時代の忍を見ていれば自然に感じられます。
忍は『黎明』で女性の地位向上を訴える論文を書きました。
女性が自由に生きられる社会を望むなら、自分自身もその考えを実行したい。
婦人記者という仕事は、社会の出来事を取材し、文章を通して多くの人へ伝える仕事です。
同人誌で自分の考えを発表していた忍にとって、その活動をさらに大きく広げられる職業だったのでしょう。
また、東京は地方に比べて新聞社や出版社が集まり、新しい文化や思想に触れる機会も多い場所でした。
忍が東京を目指すのは、仕事を得るためだけではなく、自分の可能性を広げるためでもあると考えられます。
忍は結婚を断って上京する?当時の女性にとって大きな決断
忍の上京で注目したいのが、結婚に対する考え方です。
今後の展開では、親が勧める結婚を拒み、東京へ向かうことが描かれる予定です。
現代なら、自分の仕事を優先して結婚を見送ることは珍しくありません。
しかし大正時代の女性にとっては、簡単な選択ではありませんでした。
特に女学校に通える家庭の娘には、卒業後に良い相手と結婚することを期待される場合も多かったのです。
そんな中で忍は、周囲が決めた将来ではなく、自分が望む仕事を選ぼうとします。
『黎明』で女性の自由を訴えた忍が、今度は自分の人生でその考えを実践することになります。
忍という人物の魅力は、ただ気が強いことではありません。
自分の考えを持ち、それを行動に移せるところにあります。
忍のモデルは山高しげり?女性記者との共通点を考察
角田忍のモデル候補として、山高しげりという女性の名前も挙がっています。
山高しげりは、女性や子どもの権利に関わる活動を行った人物です。
新聞記者として活動した経歴もあり、後には政治の世界でも活躍しました。
女性の地位向上に関心を持ち、記者を目指す忍とは、確かに共通する部分があります。
ただ、宇野千代と山高しげりが岩国高等女学校の同級生だったという関係は確認できません。
忍の人物像を考えるなら、女学校時代の文学仲間という史実と、当時社会で活躍し始めていた女性たちの姿を重ねて見るほうが自然でしょう。
忍は、文学に親しむ少女から、自分の言葉で社会に働きかける女性へ成長していく人物として描かれているようです。
宇野千代も新聞記者になった?忍との意外な共通点
実は、宇野千代自身にも婦人記者として働いた経験があります。
宇野千代顕彰会の年譜によると、1917年、20歳の宇野千代は上京し、婦人記者や家庭教師、店員など、さまざまな仕事を経験しています。
この史実は、忍の将来を考えるうえでも興味深いものです。
ドラマでは珠が小説家への道を歩み、忍が婦人記者を目指します。
しかし実際の宇野千代は、作家として成功する前に新聞記者の仕事も経験していました。
宇野千代の人生にあった複数の経験を、ドラマでは珠と忍という二人の女性に分けて描いている可能性もあります。
そう考えると、忍は単なる珠の友人ではなく、宇野千代が歩んだもう一つの道を表す人物にも見えてきます。
角田忍は珠の人生にどんな影響を与える?
珠と忍には共通点があります。
二人とも本が好きで、女性が自由に生きられない時代に疑問を感じています。
しかし、その表現方法は異なります。
忍は女性の地位向上を論文で訴え、婦人記者を目指します。
珠は小説を書くことで、自分の思いや考えを形にしようとします。
忍が同人誌『黎明』を提案しなければ、珠がこの時期に自分の小説を人に読んでもらう機会はなかったかもしれません。
もちろん珠はもともと本が好きで、物語を書くことにも関心がありました。
それでも、書いたものを誰かに読んでもらう経験は、作家を目指すうえで大きな意味があります。
一方で忍も、珠たちと一緒に『黎明』を作ったことで、自分の考えを文章で伝える面白さを実感したのでしょう。
二人は同じ文学仲間から出発し、それぞれの道へ進んでいきます。
今後、離れた場所で二人がどのように成長し、再び関わっていくのかも楽しみなところです。
まとめ
『ブラッサム』の角田忍は、珠の女学校時代の同級生で、同人誌『黎明』を作ろうと提案した人物です。
モデルとなった宇野千代にも、女学校時代に文学仲間と交流し、『海潮音』などの同人誌に関わった経験がありました。
忍には、こうした宇野千代の青春時代が反映されていると考えられます。
また、忍が婦人記者を目指す展開は、宇野千代自身が若い頃に婦人記者として働いた史実とも重なります。
忍は、珠に文学仲間との出会いをもたらしただけではありません。
自分の考えを文章にし、周囲の期待にとらわれず行動する姿を見せることで、珠にも新しい生き方の可能性を感じさせたのでしょう。
忍が目指すのは、女性が自分の人生を自分で選べる時代。
同人誌『黎明』から始まったその思いが、これから忍と珠の人生にどうつながっていくのか注目したいですね。
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