『チェンソーマン』レゼ篇のラストで、強く印象に残るのがレゼが一度は逃げようとしながら、デンジの待つカフェへ戻ろうとした場面です。
デンジとの戦いを終えたレゼは、そのまま遠くへ逃げることもできました。
実際にレゼは駅まで向かっています。
それなのに途中で引き返し、デンジが待つカフェへ向かいました。
なぜレゼは逃げなかったのでしょうか。
この場面で重要なのは、デンジがレゼに「一緒に逃げよう」と伝えていたことです。
一度はその誘いを断ったレゼですが、ひとりになってから自分の気持ちと向き合い、デンジと生きる道を選び直そうとしたのではないでしょうか。
この記事では「レゼはなぜカフェに戻った?」という疑問に絞り、一度去ったレゼが引き返した理由と、デンジとのすれ違いについて考察します。
※この記事には『チェンソーマン』レゼ篇の重要なネタバレが含まれます。
レゼはなぜカフェに戻った?
レゼがカフェに戻ろうとしたのは、デンジの「一緒に逃げよう」という誘いに応えようとしたからと考えると、とても分かりやすいです。
デンジとの戦いが終わった後、レゼには選択肢がありました。
これまで通り任務に生きるのか。
ひとりで逃げるのか。
それとも、デンジと一緒に逃げるのか。
その場ではレゼはデンジの誘いを受け入れず、彼の前から去ります。
ところが駅まで向かったレゼは、そのまま列車に乗りませんでした。
そしてデンジの待つカフェへ向かいます。
この行動は、レゼが一度出した答えを変えたことを意味しているのでしょう。
「やっぱりデンジのところへ行こう」
レゼがそう決めたからこそ、逃げるための駅ではなく、デンジのいるカフェへ向かったのだと思います。
レゼは一度デンジの誘いを断っている
レゼがカフェへ戻る場面が切ないのは、一度はデンジから離れることを選んでいるからです。
デンジはレゼに一緒に逃げようと誘います。
それはデンジにとっても大きな決断でした。
公安に所属し、マキマに強く惹かれていたデンジが、それでもレゼと逃げる未来を考えたのです。
しかしレゼは、その場ですぐに「一緒に行く」とは答えませんでした。
そしてデンジの前から去ります。
レゼにはレゼの事情があります。
これまで普通の少女として自由に生きてきたわけではなく、命令を受けて戦う世界に生きてきました。
そんなレゼにとって、突然すべてを捨てて「好きな人と逃げる」という選択をするのは簡単なことではなかったのでしょう。
だから一度は、これまで通りひとりで生きる道を選んだ。
でも、駅へ向かう途中でもデンジの言葉が心に残っていたのだと思います。
なぜ駅まで行ったのに引き返した?
レゼが本当にデンジとの関係を終わらせるつもりなら、そのまま列車に乗ればよかったはずです。
しかしレゼは駅まで来て、そこで立ち止まります。
この「駅」という場所も、レゼの選択を分かりやすく見せています。
列車に乗れば、デンジから離れていく。
引き返せば、デンジのところへ戻る。
レゼはその分かれ道で、デンジを選びました。
恋愛でも、一度は「これで終わり」と決めたのに、離れてみた瞬間に自分の本当の気持ちに気づくことがあります。
目の前に相手がいるときには素直になれなくても、もう会えなくなると思った途端に後悔する。
レゼも同じだったのではないでしょうか。
デンジと別れ、ひとりで駅へ向かったことで初めて、本当にこのままデンジと別れていいのかと考える時間ができたのでしょう。
そしてレゼが出した答えが「戻る」だったのだと思います。
なぜ戻る場所がカフェだった?
レゼが向かったのは、デンジと出会ったカフェでした。
ここは二人にとって特別な場所です。
レゼが働いていて、デンジが何度も会いに来た場所。
二人の関係が始まった場所でもあります。
そしてデンジは、レゼが来ることを期待してそこで待っていました。
つまりレゼにとってカフェへ戻ることは、単に以前の職場へ戻ることではありません。
デンジとの関係へ戻ることだったのでしょう。
逃げるための駅から、デンジの待つカフェへ。
この行き先の変化だけでも、レゼの気持ちがどちらへ向いたのかが伝わってきます。
レゼはデンジと本当に逃げるつもりだった?
レゼがカフェへ向かった以上、デンジの「一緒に逃げよう」という言葉を考え直していたと見るのが自然です。
もちろん、カフェへ行った後に二人が本当に逃亡したのか、その未来は描かれていません。
それでも、一度はデンジを拒んで駅まで向かったレゼが、わざわざ引き返しています。
ただ別れの挨拶をするためだけなら、ここまで印象的に「戻る」という行動を描く必要はないでしょう。
レゼはデンジと会って、もう一度話したかった。
そして今度こそ、デンジが差し出した未来に向き合おうとしていた。
そう考えると、カフェへ戻るレゼの表情や行動にも意味が出てきます。
レゼにとってこれは、任務ではなく自分自身で選んだ行動だったのでしょう。
デンジは花束を持ってレゼを待っていた
一方のデンジは、カフェでレゼを待っていました。
しかも花束まで用意しています。
ここがレゼ篇のラストをさらに切なくしています。
レゼはデンジのところへ戻ろうとしている。
デンジもレゼが戻ってくることを期待している。
つまり、この瞬間の二人は同じ方向を向いていました。
少し前までは敵同士として命をかけて戦っていた二人が、最後にはお互いに会おうとしているのです。
ところが、二人は再会できませんでした。
レゼが気持ちを変えるのが遅すぎたわけでも、デンジが待つのをやめたわけでもありません。
二人の間にマキマが入ってしまったからです。
レゼはカフェへたどり着けなかった
デンジのところへ戻ることを決めたレゼでしたが、カフェへ向かう途中でマキマに阻まれます。
レゼはマキマと天使の悪魔によって制圧され、デンジのもとへ行くことができませんでした。
そしてカフェでは、デンジがレゼを待ち続けています。
ここで残酷なのは、デンジがレゼの本当の選択を知らないことです。
デンジから見れば、レゼは戻ってこなかった。
自分よりも逃げることを選んだように見えます。
でも実際のレゼは違いました。
一度は離れることを選びながら、自分でその決断を変えています。
そしてデンジに会うために戻ってきた。
読者だけがその事実を知っていて、デンジは知らない。
このすれ違いが、レゼ篇のラストをより切ないものにしています。
レゼがカフェに戻ったことは何を意味する?
レゼがカフェに戻ろうとしたことには、もうひとつ大きな意味があります。
それは、レゼが最後に自分で自分の人生を選ぼうとしたことです。
レゼはそれまで、誰かの命令や任務によって生きてきました。
デンジに近づいたことも、もともとは自分の意思ではなく任務です。
しかし最後にカフェへ向かったのは違います。
誰かから命令されたわけではありません。
デンジの心臓を奪うためでもありません。
逃げるだけなら駅から列車に乗ればいい。
それでもレゼは、自分の意思でデンジのところへ戻りました。
だからこの場面は単なる恋愛の場面ではなく、レゼが初めて「自分はどうしたいのか」を選んだ瞬間として見ることもできます。
その答えがデンジだった。
そう考えると、カフェへ向かうレゼの姿がさらに切なく見えてきます。
もしレゼがカフェに着いていたら?
もしマキマが現れず、レゼがカフェにたどり着いていたらどうなっていたのでしょうか。
デンジは花束を持ってレゼを待っていました。
レゼも一度は駅へ向かいながら、デンジのところへ戻ることを選んでいます。
少なくとも、二人が再会して話をすることはできたでしょう。
そしてデンジはすでに一緒に逃げることを提案しています。
レゼがその気持ちに応えるために戻ってきたのなら、二人が本当に逃げ出していた未来も想像できます。
ただ、ここで大切なのは「その後どうなったか」よりも、二人とも最後には相手のところへ向かおうとしていたということです。
実際には会えなかったからこそ、レゼ篇には「もしあのとき」という強い余韻が残ります。
デンジはレゼが戻ってきたことを知らない
レゼ篇のラストで最も悲しいのは、レゼが戻ろうとした事実がデンジに伝わらなかったことかもしれません。
デンジは待っていました。
レゼも向かっていました。
本当なら二人は会えるはずでした。
しかしデンジに残ったのは、いつまで待ってもレゼが現れないという結果だけです。
デンジは、レゼが駅から引き返したことも知りません。
自分に会うために戻ってきたことも知りません。
だからデンジの中では、レゼとの恋は「来なかった」という形で終わってしまいます。
一方、読者にはレゼの選択が見えています。
レゼは来なかったのではなく、来られなかった。
この違いこそ、レゼ篇のラストがこれほど印象に残る理由でしょう。
まとめ|レゼはデンジと生きる道を選び直そうとした
レゼがなぜカフェに戻ったのか。
その答えは、一度は断ったデンジの「一緒に逃げよう」という誘いに応えようとしたからと考えると分かりやすいです。
レゼはデンジと別れた後、駅へ向かいました。
そのまま列車に乗れば、デンジとの関係はそこで終わっていたでしょう。
しかしレゼは引き返します。
逃げるための駅ではなく、デンジの待つカフェへ向かったのです。
これはレゼが自分の気持ちを選び直した瞬間だったのでしょう。
そしてデンジも、花束を持ってレゼを待っていました。
最後には二人とも、お互いのところへ向かおうとしていた。
それでも再会することはできませんでした。
レゼは「戻らなかった」のではありません。
デンジのところへ戻ることを選んだのに、たどり着けなかった。
このすれ違いこそが、レゼ篇のラストを切なく忘れられないものにしているのだと思います。


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