『眠れる森の美女』オーロラ姫のセリフはなぜ少ない？18行しかない理由についても

ディズニーアニメーションの傑作『眠れる森の美女』。その主人公、オーロラ姫は、多くのファンに愛されるプリンセスです。しかし、彼女には、他のどのディズニープリンセスにもない、一つの大きな特徴があります。それは、彼女が作中で話すセリフの少なさです。

オーロラ姫が話すセリフは、わずか18行しかありません。

これは偶然なのでしょうか？それとも、制作陣が意図的に仕掛けた、物語の深い秘密なのでしょうか？この記事では、オーロラ姫のセリフの少なさに隠された、制作意図と、彼女が象徴する「本当の美しさ」について考察します。

オーロラ姫のセリフが少ない、2つの理由

なぜ、主人公であるオーロラ姫のセリフはこれほどまでに少ないのでしょうか？その背景には、制作上の意図と、物語のテーマが深く関係しています。

『眠れる森の美女』の制作が始まった当初、物語の中心はオーロラ姫ではなく、彼女を守る3人の妖精、フローラ、フォーナ、メリーウェザーでした。

元々、ウォルト・ディズニーは3人の妖精を主役として、彼女たちの活躍を中心に物語を描こうとしました。そのため、脚本は妖精たちの会話や魔法のシーンに重点が置かれ、オーロラ姫の役割は、物語を進めるための「象徴的な存在」として割り当てられました。

結果として、彼女が画面に登場する時間はわずか18分ほどで、セリフの量も自然と少なくなったのです。

しかし、セリフが少ないのは単なる制作上の都合だけではありません。彼女のセリフの少なさは、物語のテーマをより際立たせています。

「言葉」ではなく「存在」で語るプリンセス オーロラ姫は、自らの意思を言葉で語るのではなく、その存在そのものが物語を動かします。彼女の美しさ、優しさ、そして歌声が、フィリップ王子を惹きつけ、物語の運命を導きます。彼女の行動や感情は、言葉ではなく、表情や仕草、そして歌によって表現されています。
「運命」に抗う物語の象徴 『眠れる森の美女』は、「運命」の物語です。マレフィセントの呪いという運命に、3人の妖精やフィリップ王子が立ち向かいます。オーロラ姫は、自ら運命に抗うのではなく、運命を背負った存在として、周囲の人々の行動を促す役割を担っているのです。