NHK連続テレビ小説『ブラッサム』で、教師として働く珠が、島村先生との恋愛をきっかけに学校を辞めさせられることになります。
騒動の発端は、珠が島村先生の家に何度も通っていたことでした。
最初は体調を崩した島村先生を心配してのお見舞いでしたが、その後も珠は先生の家を訪ねるようになります。
そんな二人の様子を近所の人たちが目撃し、「若い女の先生が来て逢引きしちょる」と噂になってしまったのです。
教師として生徒たちに熱心に向き合っていた珠が、なぜ恋愛の噂で仕事を失わなければならなかったのでしょうか。
実は、珠のモデルとなった作家・宇野千代も、教師時代に同僚の男性教師との恋愛が問題になり、学校を辞めています。
今回は、珠が教師をクビになる理由と、島村先生との逢引きの噂が広まった経緯、宇野千代の実話との違いを解説します。
『ブラッサム』珠はなぜ教師をクビになった?
珠が教師をクビになる原因は、島村先生の家に繰り返し通っていたことが近所で噂になり、学校側に知られてしまったためです。
珠は島村先生に恋心を抱いていました。
島村先生が体調を崩して学校を休んだときには、珠が心配している様子を見た母・リョウがお見舞いに行くことを勧めています。
珠は島村先生の住所さえ知りませんでしたが、人に道を尋ねながら先生の家を探しました。
こうして始まった訪問は、一度きりでは終わりません。
珠はその後も島村先生の家に足を運ぶようになります。
ところが、近所の人たちは、若い女性教師が男性教師の家に通っていることに気付いていました。
そして、二人が逢引きをしているという噂が広まってしまったのです。
大正時代の学校では、女性教師の私生活にも厳しい目が向けられることがありました。
珠が島村先生を好きになったこと自体よりも、二人の関係が周囲で噂になったことが、学校側にとって問題だったのでしょう。
島村先生との逢引きはなぜ噂になった?
今回の騒動で重要なのは、珠が一度お見舞いに行っただけではないという点です。
珠は最初のお見舞いをきっかけに、その後もたびたび島村先生の家を訪ねていました。
近所の人たちは、その様子を見ていたのです。
近所の人たちが珠の訪問を目撃していた
珠と島村先生の関係について、近所では「若い女の先生が来て逢引きしちょる」と噂になっていました。
学校の外で男性教師と女性教師が会っているだけなら、必ずしも問題になるとは限りません。
しかし、珠は何度も島村先生の家に通っていました。
その姿が近所の人たちの目に留まり、単なる同僚同士の付き合いではないと受け止められたのでしょう。
当時は、近所付き合いの中で人の行動が話題になることも珍しくありませんでした。
一度広まった噂は、本人たちの知らないところで大きくなっていくことがあります。
珠と島村先生も、まさか自分たちの行動が学校で問題になるとは思っていなかったのかもしれません。
お見舞いから恋人同士の逢引きへ?
珠が島村先生の家を訪ねた最初の理由は、お見舞いでした。
しかし、その後も訪問を重ねていたことから、珠にとって島村先生が特別な存在になっていたことがうかがえます。
ただし、近所の人たちが「逢引き」と噂していたからといって、二人の間にどこまで親密な関係があったのかを決めつけることはできません。
大切なのは、本人たちの事情とは別に、周囲が二人の関係を恋愛として受け止め、それが学校側に伝わったことです。
珠にとっては大切な恋でも、教師という立場では、周囲の評判を無視できない時代だったのでしょう。
珠は謹慎処分からクビになる?
10月15日の放送では、珠が島村先生の家に通っていたことが近所で噂になり、教師としての立場が危うくなる展開が描かれています。
さらに、10月16日放送予定のあらすじでは、珠が学校からクビを告げられることが明らかになっています。
謹慎処分を受けた珠は、その後も学校から連絡がないまま時間が過ぎてしまいます。
そして学校を訪ねたとき、すでに自分の代わりとなる教師がいることを知るのです。
珠は教頭から、教師を辞めさせられることを告げられます。
学校側は珠を謹慎させるだけでなく、教壇に戻さない判断をしたことになります。
教師の仕事にやりがいを感じ、生徒たちのために努力していた珠にとって、突然の免職は大きな衝撃だったでしょう。
なお、10月16日の場面については放送前のあらすじに基づく内容です。
大正時代は教師の恋愛が禁止されていた?
現代の感覚では、教師が恋愛をしたというだけで仕事を失うことに違和感があります。
しかし、『ブラッサム』の舞台である大正時代には、女性教師に対して現在とは異なる価値観がありました。
女性教師には私生活でも慎ましさが求められた
大正時代の女性教師は、子どもたちを教育する立場として、学校の外でも模範的な振る舞いを求められることがありました。
特に未婚の女性が男性と親しく交際することには、厳しい目が向けられる場合もありました。
教師としての能力だけでなく、日常生活での評判も重視されていたのです。
そのため、珠が島村先生の家に何度も通っているという噂は、学校側にとって見過ごせない問題になったのでしょう。
ただし、当時の教師同士の恋愛が全国一律に法律で禁止されていたわけではありません。
学校や地域の考え方によって、男女交際に対する受け止め方には違いがあったと考えられます。
問題は恋愛よりも周囲の評判だった?
珠が教師として不真面目だったわけではありません。
むしろ、生徒一人ひとりに向き合い、勉強を教えることに一生懸命でした。
それでも、島村先生との関係が噂になったことで、教師としての立場が揺らいでしまいます。
学校側が重視したのは、珠がどれほど熱心に働いていたかということだけではなく、教師としての評判だったのでしょう。
恋愛の噂によって仕事を失うという展開には、当時の女性が置かれていた立場の厳しさが表れています。
モデル・宇野千代も恋愛が原因で教師を辞めていた
珠の免職には、モデルとなった宇野千代の教師時代の実話が反映されています。
宇野千代は1914年(大正3年)、岩国高等女学校を卒業した後、川下尋常小学校の代用教員として働き始めました。
当時の宇野千代は17歳でした。
教師として働く中で、同じ学校に赴任してきた男性教師・玉田精磨(たまだ・せいま)に恋をします。
宇野千代は玉田先生に積極的に思いを伝え、生徒に恋文を運ばせることもありました。
やがて二人の恋愛は学校や町で噂になり、宇野千代は教師を辞めることになります。
つまり、珠が同僚の島村先生に恋をし、その関係が噂になって学校を去るという展開は、宇野千代自身が経験した出来事をもとにしているのです。
宇野千代の退職記録には「依願退職」とあった
宇野千代は、学校側から退職を求められた経験を回想しています。
一方、川下小学校の沿革誌には、1916年(大正5年)3月31日付で「依願退職」と記録されていました。
依願退職とは、本人の願い出によって退職するという形式です。
しかし、宇野千代の回想と照らし合わせると、本人が自由な意思だけで教師を辞めたわけではなかったことがうかがえます。
この退職記録については、歴史研究家・刑部芳則氏が学校沿革誌などを調査しています。
なお、宇野千代が後年に語った出来事と学校の記録では、時期に違いが見られる部分もあります。
恋の相手・玉田精磨はどうなった?
宇野千代が教師を辞めた一方で、恋の相手だった玉田精磨はどうなったのでしょうか。
実は、玉田先生も宇野千代と同じ1916年3月31日付で、川下小学校を離れていました。
玉田先生は、坂上村立坂上尋常高等小学校へ転任していたのです。
宇野千代は依願退職、玉田先生は転任という違いはありますが、二人とも同じ日に学校を去っています。
このことから、恋愛騒動の影響が宇野千代だけに及んだわけではなかったことが分かります。
ただし、玉田先生の転任が正式な懲戒処分だったとまでは断定できません。
『ブラッサム』でも、珠がクビになる一方で、島村先生がどのような扱いを受けるのか気になるところです。
『ブラッサム』と宇野千代の実話の違い
珠の免職は宇野千代の実体験をもとにしていますが、ドラマでは人物名や学校名、出来事の描き方が変更されています。
| 比較項目 | 『ブラッサム』 | 宇野千代の実話 |
|---|---|---|
| 女性教師 | 珠 | 宇野千代 |
| 恋の相手 | 島村辰彦 | 玉田精磨 |
| 勤務先 | 岩国第三尋常小学校 | 川下尋常小学校 |
| 噂のきっかけ | 島村先生の家に何度も通う姿を近所の人が目撃 | 同僚教師との恋愛が学校や町で噂になる |
| 退職の経緯 | 謹慎後、クビを告げられる展開 | 学校側から退職を求められる |
大きく共通しているのは、女性教師が同僚の男性教師に恋をし、その関係が噂になって仕事を失うという点です。
一方、ドラマでは、島村先生の家に通う姿を近所の人たちが目撃したことが、騒動の発端として描かれています。
宇野千代の実話においても恋愛の噂が退職につながりましたが、ドラマのすべての場面がそのまま実際に起きたわけではありません。
珠だけが教師をクビになるのは不公平?
珠の免職をめぐっては、なぜ女性である珠が仕事を失わなければならないのか、疑問に感じる人もいるでしょう。
恋愛は一人でするものではありません。
それなのに、珠の行動ばかりが問題視されるとすれば、不公平に感じられます。
大正時代には、男女の交際に関する評判が女性に厳しく向けられることもありました。
特に女性教師は、私生活でも慎ましくあることを期待されていたため、恋愛の噂が仕事に影響することがあったのでしょう。
ただし、モデルとなった宇野千代の実話では、男性教師の玉田精磨も同じ日に転任しています。
教師をクビになった珠はその後どうなる?
珠にとって、教師の仕事を失うことは大きな出来事です。
しかし、それと同時に、島村先生との恋がどうなるのかも気になっているのでしょう。
珠は島村先生に手紙を書くことになります。
教師としての生活は終わりを迎えようとしていますが、珠の恋もまた苦い思い出となるのでしょうか。
一方、実在の宇野千代は教師を辞めた後、岩国を離れて新しい生活へ踏み出していきました。
珠にとっても、今回の免職は人生の方向を変える大きな転機になると考えられます。
まとめ
『ブラッサム』で珠が教師をクビになる原因は、島村先生の家に何度も通っていたことが近所の人たちに目撃され、逢引きの噂が広まったことでした。
最初はお見舞いだったものの、その後も訪問を重ねたことで、二人の関係が周囲に知られるようになります。
そして、学校側にも噂が伝わり、珠は教師としての立場を失うことになります。
モデルとなった宇野千代も、同僚教師・玉田精磨との恋愛が問題になり、1916年3月31日付で教師を辞めています。
珠が仕事を失うのは残念ですが、教師を辞めた後の人生にも大きな変化が待っていそうです。
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