Netflixドラマ『SとX』で、中島健人さん演じる霜鳥壱人が抱えている過去。
物語が進むにつれて、その背景に母親の存在が大きく関係していることが分かってきます。
穏やかで、相談者の話に誰よりも丁寧に耳を傾ける霜鳥。
しかし、自分自身の恋愛となると相手との距離を縮めることができず、市之瀬佑美との関係にも迷い続けます。
なぜ霜鳥は人と深く関わることを恐れているのでしょうか。
その理由をたどっていくと、幼い頃に経験した家庭での出来事と、母親に対する複雑な思いに行き着きます。
この記事では、霜鳥の母親に何があったのか、現在はどうしているのか、そして母親との過去が霜鳥にどのような影響を与えたのかを解説します。
『SとX』霜鳥の母親に何があった?
霜鳥の母親は、彼の人生を大きく変えることになった家庭内の出来事に深く関わっています。
幼い頃の霜鳥が育った家庭は、決して穏やかなものではありませんでした。
両親の関係には大きな問題があり、家庭内で深刻な出来事が起こります。
そして霜鳥は、子どもでありながらその状況に巻き込まれてしまいました。
この経験は、成長した霜鳥の心にも深く残っています。
ドラマ序盤から霜鳥が時折見せるフラッシュバックも、この過去につながっています。
普段の霜鳥は非常に穏やかです。
相談者を否定せず、まず相手の言葉を聞こうとします。
しかし、自分自身の恋愛になると、同じようにはいきません。
佑美に惹かれていながらも、一歩踏み出そうとすると過去の記憶がよみがえってしまうのです。
つまり霜鳥にとって母親の記憶は、単なる「昔の家族の思い出」ではありません。
現在の霜鳥の人間関係や恋愛観にまで影響を与えている過去なのです。
霜鳥の母親は現在どうしている?
ドラマ第7話では、霜鳥が佑美と一緒に母親のいる療養施設を訪れます。
ここで、霜鳥の母親が現在も療養施設で暮らしていることが明らかになります。
この場面は、物語の終盤を理解するうえで非常に重要です。
それまでの霜鳥は、過去について積極的に語ろうとはしませんでした。
相談者には「話すこと」の大切さを伝えている一方で、自分自身は最も苦しい記憶を心の奥にしまい込んでいたのです。
ところが母親のもとを訪れたことで、霜鳥は長い間避け続けてきた過去と再び向き合うことになります。
さらに施設では、霜鳥にとって重要な人物との出会いがあります。
そこで知った事実が、最終的に霜鳥自身の決断を後押しすることになります。
母親との再会は、単に家族に会いに行く場面ではありません。
過去から逃げ続けてきた霜鳥が、自分自身の人生を取り戻すための大きな転換点になっているのです。
霜鳥の両親には何があった?
霜鳥の苦しみを理解するためには、両親の関係についても知っておく必要があります。
ドラマでは物語後半になると、霜鳥の家庭にかつて大きな問題があったことが世間にも知られるようになります。
その背景には、父親と母親の関係がありました。
二人の価値観は大きくすれ違い、家庭の中で深刻な対立へと発展していきます。
そして、霜鳥自身もその出来事によって深く傷つくことになります。
ここで重要なのは、ドラマが単純に「父親が悪い」「母親が悪い」という構図だけで描いていないことです。
夫婦の関係がなぜ壊れていったのか。
相手を自分の理想通りにしようとすることが、どれほど相手を苦しめるのか。
そして大人同士の問題が、そばにいる子どもの心にどれほど大きな影響を残すのか。
霜鳥の家族の物語には、『SとX』全体に通じる**「相手を一人の人間として尊重すること」**というテーマが込められています。
母親との過去が霜鳥の恋愛観に影響していた
霜鳥の過去を知ると、なぜ彼が佑美との恋愛に踏み出せなかったのかも見えてきます。
霜鳥は佑美を嫌っているわけではありません。
むしろ大切に思っているからこそ、距離を縮めることを恐れていました。
幼い頃、最も身近にいた両親の関係が壊れていく姿を目の当たりにした霜鳥にとって、誰かと深く結びつくことは「幸せ」だけを意味するものではなかったのでしょう。
大切な人との関係は、いつか壊れるかもしれない。
自分も両親と同じようになってしまうかもしれない。
そんな恐れが、心の奥に残っていたと考えられます。
第2話では、霜鳥自身も「誰かと深く関わることを避けている」と指摘されています。
そして佑美との関係を前に進めようとした第3話では、過去の記憶がよみがえります。
つまりドラマでは早い段階から、霜鳥の恋愛へのためらいと過去がつながっていることが示されていたのです。
なぜ霜鳥は母親のもとを訪れたのか
第7話で霜鳥が母親のいる療養施設を訪れることには、大きな意味があります。
それまでの霜鳥は、自分の過去を切り離すことで生きてきました。
しかし、過去を見ないようにするだけでは、本当の意味で前へ進むことはできません。
そんな霜鳥の背中を押したのが佑美でした。
佑美は霜鳥の苦しみをすべて理解できるわけではありません。
それでも、彼から離れるのではなく、一緒に向き合おうとします。
これは霜鳥が幼い頃に経験した家族関係とは対照的です。
自分の価値観を相手に押しつけるのではなく、相手の気持ちを知ろうとする。
問題が起きたから関係を断つのではなく、一緒に考える。
『SとX』が繰り返し描いてきた「対話」が、ここでは霜鳥自身に向けられています。
母親のもとへ行くという行動は、霜鳥が過去に支配される人生から一歩踏み出したことを表しているのでしょう。
母親の存在が霜鳥をセラピストへ導いた?
霜鳥の職業と過去の関係についても考えてみたいところです。
霜鳥は、人にはなかなか話しづらい悩みを専門に扱い、相談者の言葉に耳を傾けています。
なぜ彼は、この仕事を選んだのでしょうか。
もちろん、母親との出来事だけが職業選択の理由だと断定することはできません。
しかし、霜鳥自身が幼い頃から「誰にも言えない問題」を抱えてきた人物であることは重要です。
周囲には理解してもらえない苦しさ。
家族について話せない孤独。
自分の気持ちを言葉にできないつらさ。
そうした経験をしてきたからこそ、霜鳥は他人の「話しづらさ」に敏感なのではないでしょうか。
相談者の悩みを笑わない。
「普通」という価値観を押しつけない。
本人が何を感じているのかを大切にする。
霜鳥のこうした姿勢には、自分自身の過去が少なからず影響しているように感じられます。
母親との過去は霜鳥を苦しめました。
しかし同時に、人の痛みに寄り添える現在の霜鳥を形作った一つの要因にもなっているのかもしれません。
霜鳥が母親と向き合うことは「過去を許す」ことではない
霜鳥が母親のもとを訪れたことを、「すべてを許した」と考える必要はないでしょう。
ここは『SとX』らしいところです。
つらい過去は、向き合ったからといって消えるものではありません。
家族だから必ず許さなければならないわけでもありません。
霜鳥に必要だったのは、過去をなかったことにすることではなく、過去があった自分自身を受け入れることだったのではないでしょうか。
母親と父親の人生は、霜鳥自身の人生ではありません。
両親の関係が壊れたからといって、自分も同じ道を歩むとは限りません。
そのことに気づくことが、佑美との未来へ進むためにも必要だったのでしょう。
母親との過去を振り返る場面は重いものですが、物語としては霜鳥が過去から解放されていくための重要なステップになっています。
まとめ
『SとX』の霜鳥壱人が人と深く関わることを避けてきた背景には、幼い頃の家庭環境と母親をめぐる出来事がありました。
現在、母親は療養施設で暮らしており、第7話では霜鳥が佑美とともにその場所を訪れます。
そこで過去と向き合ったことが、霜鳥に大きな変化をもたらします。
母親との過去は、霜鳥にとって長い間消すことのできない苦しい記憶でした。
しかし、その経験があったからこそ、他人の悩みを否定せず、まず話を聞く現在の霜鳥につながったとも考えられます。
そして霜鳥が母親のもとへ向かったことは、過去をすべて許したというより、「両親の人生と自分の人生は違う」と受け入れ、自分自身の未来を選ぶための一歩だったのではないでしょうか。
母親との関係を知ることで、霜鳥がなぜ人の心に寄り添うのか、そしてなぜ佑美との恋愛に踏み出せなかったのかも、より深く理解できるようになります。


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