『となりのトトロ』で、さつきとメイが引っ越してきた古い家にいた黒くて丸い不思議な生き物「まっくろくろすけ」。
壁や天井をササッと移動し、捕まえようとすると真っ黒になってしまう姿が印象的ですよね。
ところが、物語の途中からまっくろくろすけは姿を見せなくなります。
「まっくろくろすけって結局何だったの?」
「なぜ家からいなくなったの?」
「実在する虫などのモデルがいる?」
と気になった人もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、まっくろくろすけは古い家などに住みつく「ススワタリ」と呼ばれる不思議な存在です。
そして草壁家からいなくなったのは、さつきやメイたちが引っ越してきたことで家がにぎやかになり、「人が住み始めたから、そろそろ引っ越そう」と別の場所へ移っていったためと考えられます。
今回は、まっくろくろすけの正体やモデル、なぜいなくなったのかをわかりやすく解説します。
まっくろくろすけとは?
「まっくろくろすけ」は、さつきとメイがつけた呼び方として知られています。
正式には**「ススワタリ」**と呼ばれる存在です。
その名前の通り、見た目は真っ黒なススのかたまりのよう。
丸い体に大きな目がついており、たくさんの仲間と一緒に古い家の中で暮らしています。
草壁家が引っ越してきた直後、さつきとメイは家の中で黒いものがサッと動くのを目撃します。
最初は驚きますが、メイは怖がるよりも興味津々。
捕まえようとして部屋の中を探し回ります。
まっくろくろすけの正体はススワタリ
まっくろくろすけの正体である「ススワタリ」は、人が住んでいない古い家にひっそりと住んでいる不思議な存在として描かれています。
引っ越してきた草壁家を見たおばあちゃんは、さつきとメイが見た黒いものについて「ススワタリ」ではないかと話します。
そして、自分が子どものころにも見えたという趣旨の話をしています。
つまり、ススワタリは誰にでも見える存在というより、子どものころだからこそ見える不思議なものとして描かれているのでしょう。
トトロも同じように、作品の中で大人たちが直接その姿を見る場面はありません。
『となりのトトロ』の世界では、子どもだけが出会える不思議な存在のひとつが、まっくろくろすけなのです。
まっくろくろすけは妖怪なの?
見た目や行動から「妖怪なの?」と思う人もいるでしょう。
しかし、映画の中で「妖怪」と説明されているわけではありません。
おばあちゃんも、恐ろしいものとしてススワタリを扱ってはいません。
むしろ、
「人が住み始めれば、そのうちいなくなる」
というような存在として受け入れています。
人間に危害を加えるわけでもなく、誰も住んでいない家にひっそり暮らしている。
そのため、一般的な怖い妖怪というよりも、昔話や民間伝承に登場しそうな、家や自然と一緒に存在している不思議な生き物と考えたほうが、『となりのトトロ』の世界観には合っています。
まっくろくろすけはなぜいなくなった?
草壁家が引っ越してきた直後にはたくさんいたまっくろくろすけですが、その後は家の中から姿を消します。
これは、追い払われたり退治されたりしたわけではありません。
おばあちゃんは、ススワタリについて人が住み始めると、いつの間にかいなくなるという趣旨の説明をしています。
それまで草壁家の新居は、長い間人が住んでいなかった古い家でした。
静かで薄暗い家の中は、まっくろくろすけたちにとって居心地のよい場所だったのでしょう。
ところが、お父さん、さつき、メイが引っ越してきます。
窓や雨戸が開けられ、家の中に光や風が入り、掃除が始まります。
さらに子どもたちの声が響き、家は一気ににぎやかになりました。
まっくろくろすけたちにとっては、
「この家には人間が住み始めたから、そろそろ別の場所へ行こう」
というタイミングだったのでしょう。
まっくろくろすけが引っ越す場面がある
実は、まっくろくろすけがいなくなる様子は映画の中にも描かれています。
草壁家が引っ越してきた日の夜。
家族が眠ったあと、黒い小さなものたちが家から出ていき、空へ向かって移動していく姿を見ることができます。
つまり、いつの間にか消滅したわけではありません。
まっくろくろすけ自身も、草壁家と同じように「引っ越し」をしたのです。
物語の冒頭で草壁家が新しい家へ引っ越してくる。
その一方で、そこに住んでいたまっくろくろすけたちは別の場所へ引っ越していく。
こうして見ると、物語の始まりで2つの「引っ越し」が描かれているのも面白いところです。
まっくろくろすけのモデルは何?
黒くて丸く、たくさん集まって動くまっくろくろすけ。
その独特な見た目から、
「何か実在する生き物がモデルなの?」
と思う人もいるでしょう。
しかし、映画の中では特定の虫や動物がモデルだとは説明されていません。
名前の「ススワタリ」から考えても、基本となっているイメージは家の中にたまる「煤(すす)」でしょう。
古い家の暗い場所に黒いものがたまり、それが突然サッと動いたように見える。
そんな子どものころの感覚を、不思議な生き物として形にした存在とも考えられます。
「まっくろくろすけ」という言葉にもヒントがある
さつきとメイは黒いものを見つけると、
「まっくろくろすけ出ておいで」
と呼びかけます。
まっくろくろすけという名前そのものが、生物の種類を表す名前ではありません。
「真っ黒な何か」に子どもたちが名前をつけたような、親しみのある呼び方です。
暗い部屋の隅で何かが動いた気がする。
誰もいないはずなのに何かがいるような気がする。
そんな子どもならではの想像力が生み出す存在が、まっくろくろすけのイメージにつながっているのかもしれません。
『千と千尋の神隠し』にもススワタリが登場する
まっくろくろすけを見て、
「『千と千尋の神隠し』にも似たものがいた!」
と思った人も多いでしょう。
実際、『千と千尋の神隠し』にも「ススワタリ」が登場します。
釜爺のいるボイラー室で、石炭を運んで働いている黒い小さな生き物たちです。
見た目は『となりのトトロ』のまっくろくろすけによく似ています。
ただし、『千と千尋の神隠し』のススワタリには細い手足があり、石炭を持って運ぶなど、『となりのトトロ』とは少し違った描かれ方をしています。
同じ「ススワタリ」という存在が、作品によって異なる役割で登場しているのも面白いところです。
なぜ大人には見えないの?
まっくろくろすけについて、もうひとつ気になるのが「なぜ大人には見えないのか」という点です。
お父さんは、さつきとメイから家に何かいたと聞いても、実際にまっくろくろすけを見ることはありません。
一方、おばあちゃんは現在は見えていないものの、子どものころには見えたと話しています。
このことから、まっくろくろすけは子どもだからこそ見ることのできる存在として描かれていると考えられます。
『となりのトトロ』では、トトロとの出会いについても似た描かれ方をしています。
森の中や古い家に何かがいるように感じる。
大人になれば気にしなくなってしまうものを、子どもは本当にそこにいる存在として感じることができる。
まっくろくろすけは、そんな子どもの感覚を象徴するキャラクターなのかもしれません。
まっくろくろすけが最初に登場する意味を考察
『となりのトトロ』で、さつきとメイが最初に出会う不思議な存在はトトロではありません。
まっくろくろすけです。
これには、作品の世界へ入っていくための「入口」のような意味があるのではないでしょうか。
引っ越してきたばかりの古い家で、まず小さな不思議に出会う。
そのあとメイは庭から森へ入り、さらに大きな不思議であるトトロと出会います。
まっくろくろすけ → 小トトロ → 中トトロ → 大トトロ
と、さつきとメイが出会う不思議な存在は少しずつ大きくなっていきます。
まっくろくろすけは単なるかわいい脇役ではなく、これから始まる「不思議なものが本当にいる世界」を最初に見せてくれる存在だったとも考えられます。
まとめ
『となりのトトロ』のまっくろくろすけについて、正体やモデル、なぜいなくなったのかを解説しました。
まっくろくろすけの正式な呼び名は**「ススワタリ」**。
古い家の暗い場所に住みつき、人が住み始めると別の場所へ移っていく不思議な存在として描かれています。
草壁家からいなくなったのも、退治されたからではありません。
お父さん、さつき、メイが引っ越してきて家がにぎやかになったため、まっくろくろすけたちも新しい場所へ「引っ越した」のです。
また、特定の虫や動物がモデルだと映画で説明されているわけではなく、名前や見た目からは、古い家にたまる「煤(すす)」を生き物のように表現したキャラクターと考えることができます。
さらに『千と千尋の神隠し』にも、同じ「ススワタリ」が別の姿で登場します。
古い家で最初にまっくろくろすけと出会い、その後トトロのいる森へ入っていくさつきとメイ。
まっくろくろすけは、『となりのトトロ』の不思議な世界への最初の案内役だったのかもしれません。
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